こんにちは、管理人のアカツキです。
今回の防災アプリは「札幌市防災アプリ『そなえ』」です。
ここの所、各自治体が独自に防災アプリを配信する事例が増えてきています。
これを当サイトではローカル防災アプリと呼び、全国にどれくらいの数があるのかをまとめています。
そのような訳で今回は北の大地、北海道から札幌市の防災アプリを取り上げてみることにしました。
札幌市防災アプリ「そなえ」とは
北海道札幌市が提供する防災アプリです。地震や大雨による浸水の被害想定や避難場所などの情報を発信するとともに、災害から市民の安全で迅速な避難を支援する内容になっています。
アプリのリリースは2017年(平成29年)9月に行われました(iPhone版)。そして修正などが加えられ、記事投稿時点での最新バージョンは、2.1.0になっております。
年月日 | バージョン | 変更内容 |
2017/9/27 | 1.0.0 | リリース |
2017/10/6 | 1.0.1 | 軽微な問題の修正 |
2018/3/29 | 1.0.2 | 英語、韓国語、簡体字、繁体字に対応 |
2018/5/29 | 1.0.3 | 軽微な問題の修正 |
2018/6/26 | 1.0.4 | オフライン用避難場所・地図データが保存可能 |
2019/2/26 | 1.1.0 | ・避難場所ハザードマップレイヤー機能を追加 ・防災学習シミュレーション機能を追加 |
2019/3/25 | 1.1.1 | ・洪水ハザードマップレイヤーの機能を追加 ・開設済み避難所表示(災害時)の機能を追加 |
2020/3/12 | 1.1.2 | 軽微な修正 |
2020/6/24 | 1.1.3 | 軽微な修正 |
2020/8/20 | 1.1.4 | 軽微な修正 |
2020/11/26 | 1.1.5 | 軽微な修正 |
2021/3/26 | 2.0.1 | ・アプリ全体のデザインを変更 ・トップ画面上部に緊急情報の表示 ・ハザードマップ情報をオンラインで参照可能 ・危険度体験機能はよりリアルな体験を実現 |
2021/4/14 | 2.0.2 | 軽微な修正 |
2021/4/23 | 2.0.3 | 軽微な修正 |
2021/6/11 | 2.0.5 | 軽微な修正 |
2021/7/7 | 2.0.6 | 軽微な修正 |
2021/10/1 | 2.0.7 | トップページに「さっぽろ防災ポータル」へのリンクを追加 |
2021/10/22 | 2.0.8 | 軽微な修正 |
2021/11/18 | 2.1.0 | 軽微な修正 |
機能紹介
メイン画面
それではアプリの内容を見ていきましょう。まずはメイン画面です。
画像のように各メニューへのボタンがタイル状に配置されており、とてもすっきりとした構成になっています。上側には緊急情報が表示されるようになっており、今どのような避難情報が発令されているのかをすぐに確認することができます。
全メニュー数は9つあり、多くの内容が収録されています。一つずつこれらの機能について見ていくことにしましょう。なお通知履歴については省略します。
札幌市防災アプリ・各機能
- 安否情報(登録・確認)
- 防災学習
- 防災情報リンク集
- ハザードマップ
- 避難場所
- 気象情報
- SOS通知
- 通知履歴
- 危険度体験
安否情報(登録・確認)
まずは安否情報です。こちらをタップすると、Googleパーソンファインダーのサイトに移動します。これはGoogleが提供している安否確認サービスです。
災害時に自分の無事を誰かに知らせたい、またあの人が無事かどうかを知りたいということがあると思います。パーソンファインダーはそれらをつなぐ安否確認サービスになっています。
このサイトは災害時に実際に運用されるページになります。そのため、テストをしてみたいが個人情報をやり取りするので抵抗がある、という方もおられるかも知れません。
そこでパーソンファインダーはデモ版(体験版)が提供されています。こちらでは24時間以上経過した情報は削除されるようになっていますので、ぜひ一度災害時を想定して試してみてはいかがでしょうか。良い経験になると思います。
安否確認サービスについてはこちらの解説記事もぜひご覧ください。
防災学習
防災学習では、4つの項目で防災について学ぶことができます。
いずれもそこまで分量はなく、要点のみが書かれていますのですぐに全てを読み終わることができるでしょう。このうち、防災コラムは防災や火山の専門家によって書かれており、今までに5本が投稿されています。こちらも端的に防災のポイントが示されています。
また、災害シミュレーションは最後に取り上げる危険度体験と同じものですから、そちらで見ていきたいと思います。
防災情報リンク集
アプリ利用者に役立つ防災情報リンク集です。ジャンルごとにまとまっており多くのサイトがリンクされています。
- 災害情報
- 医療情報
- 防災情報
- 防災教育
- 北海道の防災教育
(注 アプリでは北海道防災ポータルのトップページにリンクされますが、内容的におそらくこちらの「ほっかいどうの防災教育」が正しいリンク先かと思われます。ポータルの関連リンク集からもアクセスできます。こちらではそのリンクを張りました) - TEAM防災ジャパン(内閣府)
- 内閣府(防災シミュレーター)
- 札幌管区気象台ホームページ(防災教育)
- 東日本大震災アーカイブ(NHK)
- 北海道の防災教育
全体的に地域の医療情報や防災情報について役立つリンク集になっていると思います。特に地下鉄安全ガイドはぜひ押さえておきたい一冊だと思います。
札幌は地下鉄が走っていますから、地下鉄を利用しているときにもし災害が発生した場合、どのように行動すべきかわからない方もおられると思います。
災害ではありませんが、最近電車内で発生した事件もありましたので、取るべき適切な行動を事前に学んでおくことは大事なことだと思います。
ちなみにこちらの地下鉄安全ガイドは、各駅のパンフレットコーナーに設置してあるとのこと。実際に冊子をお手元に取ることができます。
ハザードマップ
続いてハザードマップです。こちらでは地震、洪水、土砂災害について関連するハザードマップを確認することができます。
- 地震関連
- 地震防災
- 液状化危険度図
- 建物全壊図
- 洪水関連
- 洪水
- 土砂災害関連
- 土砂災害危険個所
- 土砂災害警戒区域等の指定状況
いずれも区を選択することで情報を確認できます。試しに液状化危険度図を見てみましょう。
まず液状化危険度図をタップして地区を選択します。ここでは中央区・南区(北側)を選んでみます。
ちなみに中央区は札幌駅から南側、札幌市の中心部を含んだエリアです。さっぽろ雪まつりで名高い大通公園もこの一角に含まれます。
地区を選ぶと、画像のように色分けされたハザード情報が表示されます。札幌市で想定される地震により、どの部分が液状化しやすいかが分かるようになっています。
札幌市で想定されている地震とは?
ではどのような地震が起こると想定されているのでしょうか。
このベースとなっているのが2008年(平成20年)9月に発表された札幌市第3次地震被害想定です。
この想定において、将来札幌で発生する可能性があり、最大級の被害をもたらすと考えられる地震が5つ挙げられました。
このうちハザードマップに反映されているのは、伏在(ふくざい)活断層による3つの地震です。いずれも最大震度が7と予想されていますね。ここで伏在活断層とは、その断層が地面に見えず地下にある、つまり伏在していると考えられるものです。
札幌市は、第3次地震被害想定を策定する前に地下構造の調査などを行いました。その結果から先の断層の存在が推定され、想定に盛り込まれたという経緯があります。
地下構造の調査結果は札幌市のサイトにまとめられております。また、この調査事業は文部科学省の交付金で行われたものであり、その報告書(石狩平野の地下構造調査に関する調査成果報告書)が政府の地震調査研究推進本部、通称地震本部のサイトで公開されています。調査は札幌だけでなく、東京都などでも行われているようです。
ちなみに今年2021年(令和3年)8月に最新の知見を取り入れた第4次地震被害想定がまとめられ、公開されています。
関連する委員会が2019年(令和元年)から開催されており、地震防災マップの更新もこれから行われていくのだと思われます(令和3年度第1回(令和3年7月9日開催)の資料3(PDF))。
避難場所
アプリの要の機能とも言える避難場所機能です。札幌市全域について情報を確認することができます。確認する方法は二つあり、地図から見る方法とリストから見る方法があります。
画像のように、本当に多くの避難場所が設定されていることがわかります。また、避難場所の状況も表示されるようになっています。
そして凡例をタップすると、その避難場所が開設されているか、開設しているがどのくらい空いているのか、といったステータス情報まで提供されていることがわかります。この辺りはかなり力が入っているように思いました。
避難場所ですが、札幌市では以下の場所が指定されています。
避難所については少し用語がややこしい部分があります。この点についてはぜひ次の解説記事もご覧ください。
気象情報
札幌市に今現在どのような注意報・警報が発令されているかを確認することができます。
画像のように、注意報や警報が発令されている場合、その種類と2~5までの数字が一緒に表示されます。
数字は警戒レベルと呼ばれるものです。最近大雨のニュースなどがあると、この数字が必ずセットになって呼びかけられていると思います。
警戒レベルは1~5までの5段階になっており、数字が増えるにつれて災害のリスクが高まっていることを示します。
1は災害への心構えを高める段階で、気象庁の早期注意情報(警報級の可能性)がこれに対応します。5はすでに災害が発生しているか、差し迫っている状態を示します。画像では2になっていますので、避難行動の確認をしておく段階になります。
警戒レベルについては、こちらの記事も参考にしてください。
SOS通知
SOS通知は、被災した時に連絡を取りたい人に向けて発信する機能です。その人のメールアドレスを登録することで、定型の状況メッセージと居場所を送信するようになっています。
先の安否情報に比べ、より直接的に素早く伝えたい相手がいる場合に使うことを想定しているのだと思われます。
メッセージを発信した場合、相手には次のような形でメールが届きます。
【緊急】SOS通知
(選択したメッセージ)
経度:***(かなり細かく表示されます)
緯度:***
住所:***
地図で見る:***(現在地の地図リンク)
危険度体験
こちらの危険度体験は、AR(拡張現実)を使って災害のシミュレーションを行う機能になります。
ARとは、スマホのカメラで写した画面に別のイメージ画像などを重ね合わせる技術です。ゲームなどでもそのキャラと撮影する、なんていうものがありますが、これもAR機能です。この機能を使って次の三つのシミュレーションを体験することができます。
- 浸水
- 土砂
- 地震
いずれも札幌市で使うことが想定されていますが、危険度を体験するという意味であれば、どこでも使うことができます。実際に浸水シミュレーションでは、浸水の度合いを選択して体験することができます。
地震シミュレーションでは本棚か窓ガラスを選択することでそれらが地震で倒れたり割れたりする様子を体験できます。ただ、こちらと土砂シミュレーションについてはもう少し切迫感というものがあっても良いのかも知れません。
防災情報はさっぽろ防災ポータルでも
ここまでメインの機能を見てきました。もしさらにくわしい情報が欲しい場合は、メニュー画面下にある「さっぽろ防災ポータル」をタップしてみてください。
こちらはアプリの防災情報リンク集にもありましたが、札幌市による防災、災害時の情報を提供するサイトです。
まとめです
今回の防災アプリは札幌市防災アプリ「そなえ」を取り上げました。
私が調べた限りでは、独自に防災アプリを作成している北海道の自治体は札幌市だけのようです。
アプリはメイン画面が整然と並んでいて、各種情報へのアクセスが容易になっており使いやすい印象を受けました。ただ、特に北海道は冬季の雪害についてもこと細かに情報提供をすることが求められると思います。
改善は定期的に行われていますので、今後はぜひ冬期間の防災情報の充実とシミュレーションのブラッシュアップが行われればより良い防災アプリになっていくのではないかと思います。
札幌市防災アプリで、お手持ちのスマホからいつでも必要な情報を取得できるようにして防災レベルを上げていきましょう。