2023/10/05 地震の新指標「長周期地震動階級」とは (2) を投稿しました

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災害時の強い味方「あたためグッズ」

防災グッズ

こんにちは、管理人のアカツキです。今回の防災グッズは「あたためグッズ」を取り上げます。前回の記事で「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震」について取り上げましたが、この地震の被害想定では冬の災害で心配される低体温症のリスクについて記述があります。

特に寒い季節における自宅での避難生活を考えた時、やはり暖を取ることが大事になってくると思います。それは食べるものについても同じです。

しかし、大きな災害では停電なども起こり得ます。そのような時、どのように温かい飲み物や食べ物を調達すれば良いでしょうか。

今回は非常時にぜひ備えておきたい「あたためグッズ」を見ていきましょう。

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どうやって温める?

まず、ものを温めるにはが必要ですよね。となると、その熱を出すものが必要になります。
平時では、それがガス(コンロ)や電気(IHコンロ、ポットなど)になりますが、災害時にはこれらが止まってしまう可能性があります。次の表は、先ほど少し触れました日本海溝・千島海港沿いの巨大地震の被害想定から一部を抜き出したものです。

これは一番最悪のケースを想定した場合になりますが、被災直後と一ヶ月後の数字を見比べてみてください。ほとんど変わっていないですよね?ここから言えることは、電気やガスは災害によって一か月以上使えなくなる可能性がある、ということです。

そこで、このような非常時にガスや電気の代わりになるようなものがあれば、熱を作り出せることになります。そのための方法は、大きく三つあります。

  1. 火を起こす
  2. 化学反応で熱を発生する
  3. 電気(車)を使う

1はそのままで、燃料を使って火を起こすというものです。一番身近なところですと、ガス缶ガスコンロという組み合わせがあります。ガス缶は燃焼時間が数時間持ちますし、何よりこの組み合わせは、日常的にも食卓の場で使われているところも多いかと思います。

ちなみにガスを用いたあたためグッズは、以前記事としてまとめてあります。こちらも合わせてご覧ください。

ガス缶の他に良く使われる燃料には、固形燃料があります。レストランや旅館で見かける、ちょっとした鍋料理なんかをくつくつと煮立たせるゆらゆらとした炎を出すあの丸いカタマリです。

固形燃料は、燃える時間はそこまで長くはありませんが、いざという時に使えるアイテムです。近年ではアウトドアで多く使われているようですね。

2は化学の力を利用するもので、代表的なものは生石灰(酸化カルシウム)による反応です。この反応は様々なところで使われていて、たとえば駅弁を温めるのに使われています。

3は家の電気ではなく、車のバッテリー(シガーソケット)から電気をもらおうということです。ここでは一般的なガソリン、ディーゼル車を考えています。

ちなみに電気自動車(EV)などの電動車には100Vのコンセントが付いていることから、災害時においても家電を使うことができるようになっています。

これについてはまた別の機会にお役立ち防災情報として記事を書きたいと思っています。

あたためグッズ紹介

ここまで、ものを温める方法について見てきました。それでは、実際に水をお湯にしたり、食品を温めるためのグッズにはどのようなものがあるのでしょうか。早速見ていくことにしましょう。

1.火を起こす

(1) エスビット ポケットストーブ・スタンダード

  • 参考価格(Amazon、税込み) 1,451円
  • サイズ 収納時 98×77×23mm
  • 重量 85g
  • 純正固形燃料付き(4g×20個)
ポケットに入るコンパクトなストーブ

アウトドアや登山用品などの輸出入を行う株式会社 飯塚カンパニーが取り扱うあたためグッズです。こちらのポケットストーブはドイツのエスビット社製のものになります。

ストーブはその名前の通りポケットに入るくらい小さく、持ち運びが便利な形をしています。火を起こすとは言っても、燃料はもちろんのこと、それを置いて燃やすための受け皿となるものが必要になります。そこでまずはこのようなものがあることをご紹介します。次の写真をご覧ください。

ポケットストーブ(折り畳み時)
ポケットストーブ(折り畳み時)
この中に燃料を収納できます
ポケットストーブ(展開時)
ポケットストーブ(展開時)
固形燃料(4g)
固形燃料(4g)

上の写真は実際の製品です。今回記事を投稿するにあたってこのようなストーブを調べていたのですが、これは自分でも備えておきたいと思って購入してみました。写真にもある通り、そのコンパクトさがお分かりになるかと思います。そしてこちらのポイントは、燃料を中に収納できるということです。

また固形燃料もエスビット製のものがセットになっていて、防災用品として大変役立つのではないかと思います。燃料はいくつか種類がありますが、スタンダードと呼ばれる一個4gのものが20個セットになっています。その主成分はヘキサミン(ヘキサメチレンテトラミン)と呼ばれるものでして、燃えた時の熱量が大きく、煙もほとんど出しません。

実際にケトルに400mlほどの水(大体コーヒー3杯分)を入れてお湯を沸かしてみましたが、20分ほどで沸とうの少し手前くらいになりました。燃料1個はそこまで燃える時間が長いということはなく、5~6分といったところです。

お湯を沸かしてみました(1)
お湯を沸かしてみました(1)
お湯を沸かしてみました(2)
お湯を沸かしてみました(2)

燃料は燃え切るタイミングで追加投入をしていきました。結果的に使用したのは4個となりました。温めに時間がかかってしまいましたが、火力を強めたい場合は複数個をまとめて投入すると良いでしょう。後日4個まとめて燃やして試してみたところ、5~6分で沸とうしました。

今回セットになっているのは4gの燃料ですので、使い方に応じて燃料の個数あるいは種類を変えて揃えられると良いと思います。次のようにいくつかのバリエーションがあります。

燃料の重量 燃焼時間 沸とうまでの時間(水500ml) 参考価格(税込み)
4g 約5分 約6分(4個使用) 553円(Amazon、20個)
5g 約6分 約6分(3個使用) 600円(Amazon、16個)
14g 約12分 約7分30秒(1個使用) 476円(Amazon、6個)
1,253円(Amazon、12個)
27g 約25分 約5分20秒(1個使用) 1,334円(楽天、8個)

出展 飯塚カンパニー 「製品カタログ」1ページ目

手をかざすとかなりの暖かさも感じますので、その熱量を実感できると思います。

(2) ニチネン 固形燃料クリーンCA

  • 参考価格 280円(楽天市場、税込み)
  • セット数 12個
  • 燃焼時間 25分30秒
  • アルミ箔付き
定番燃料の長期保存タイプ

固形燃料やカセットコンロ・ボンベなどの事業を行う株式会社 ニチネンからこちらの固形燃料を取り上げてみました。

おそらく多くの方が見たことがある固形燃料ではないかと思います。青い色が特徴的ですよね。ニチネンの固形燃料は重量や燃焼時間によって様々な種類のものが用意されています。今回は、防災という観点から長期の保存がきく個包装のタイプ最も燃焼時間が長いものを選んでみました。

また使用するときには、包装されている容器をそのまま燃やすことができるようになっています。一方で、固形燃料の主成分はメタノール(メチルアルコール)と呼ばれるものでアルコールの一種なのですが、毒性があります。特に失明のリスクがあり、亡くなる場合もあります。

このことから、メタノールは目散るアルコールだ、と言われることをご存じの方も多いかと思います。ニチネンのサイトには、固形燃料の使用方法について注意書きが掲載(固形燃料使用方法01固形燃料使用方法02、いずれもPDFファイルです)されていますので、ぜひ一度目を通されることをお勧めします。安全は常に第一に。

(3) 井之上事務所 デュアルヒート

  • 参考価格(楽天市場、税込み) 2,310円
  • セット内容
    • デュアルヒート極小缶 2個
    • 専用五徳 1個
    • マッチ 1箱
    • 専用ステンレスマグカップ(500ml) 1個
    • 軍手 1双
    • 消火用ふた 1個
    • 保管用キャップ 1個
    • 巾着袋 1袋
  • サイズ(デュアルヒート缶)
    • 極小缶
      • 高さ45mm×径60mm
      • 内容量 80g
      • 燃焼時間 60分
    • 小缶
      • 高さ60mm×径60mm
      • 内容量 130g
      • 燃焼時間 120分

厨房設計のコンサルタント業務などを手掛ける株式会社 井之上事務所が取り扱う固形燃料です。こちらの特徴は、燃料が缶に入っている、ということです。

ちなみに燃料そのものはジエチレングリコーという液体になります。これを断熱材として使われるロックウールに浸み込ませて缶に収納している形になっています。そのため、缶を倒しても燃料が漏れる心配がなく、安全に使うことができます。

使用後はふたをしてあげることで簡単に消火ができ、再度使用することができます。缶のサイズには極小の二種類があり、燃焼時間がそれぞれ60分、120分になっています。

実際の使用時には、ケトルなどを乗せるための五徳や消火時に使うふたが必要になりますので、それらがセットになっているこちらのセットを取り上げてみました。500mlのカップも付いています。また缶単品も手に入れることができます。

  • 参考価格(楽天、税込み) 350円
  • 参考価格(楽天、税込み) 385円

2.化学反応で熱を発生する

(1) 協同 モーリアンヒートパック 加熱セット

水を注いで加熱開始
  • 参考価格(Amazon、税込み) 3,158円
  • セット数 3
  • セット内容
    • 加熱袋(Lサイズ) 1袋
    • 発熱剤(Lサイズ) 5個

こちらは食品加熱加温剤や長期保存用飲料水の製造販売を行う株式会社 共同が販売する製品になります。モーリアンヒートパックとは、化学反応で熱を発生する発熱剤を指しており、当社によるとその成分は生石灰(酸化カルシウム)アルミ粉末、そして反応をコントロールする反応助剤となっております。ここに水を加えることで化学反応が起こり、熱が発生するという仕組みになっています。

この一連の化学反応は、生石灰に水を加えるだけの反応と比べて約10倍も高い熱量を発生させます。この高い熱量で食品を加熱できるので、自衛隊においても戦闘糧食と呼ばれる非常食の加熱剤に採用されているという実績があります。

そして加熱セットは発熱剤と食品や飲み物を入れて温めるための加熱袋が一緒になったもので、袋に温めたいものを入れて所定量の水を入れ、袋を閉じることで加熱を行うというものです。発熱剤にはいくつか種類がありますが、Lサイズですと次のようなものが温められます。

このようなものを温められます
このようなものを温められます
出展 株式会社 協同「モーリアンヒートパックの特徴

一点注意したいのは、この反応の過程で水素が出てきてしまうということです。水素は空気より軽く、火を付けると燃える性質がありますので、換気が良い状態で加熱を行い、火を近付けないようにしましょう。

(2) 協同 モーリアンヒートパック 湯沸かしBOX

非常時に手軽にお湯を沸かせるBOX
  • 参考価格(Amazon、税込み) 2,860円
  • セット数 3
  • セット内容
    • 湯わかしBOX外箱 1個
    • アルミ袋 1袋
    • キャップ付き飲料袋 1袋
    • 発熱剤 1袋
    • 底板 1枚
  • サイズ 縦14.5×横11.5×幅6cm

モーリアンヒートパックを使った製品として、こちらの湯沸かしBOXもおすすめしたいと思います。名前の通り、水を温める専用のキットになっていて沸かしたお湯はそのまま飲むのはもちろん、お茶やカップ麺などにも使うことができます。加熱の目安時間は次の通りです。

使用例 目安温度 加熱目安時間
お茶・コーヒー 約60℃ 5分
アルファ化米 約70℃ 10分
カップ麺 約80℃ 15分


先の加熱セットでは飲み物だけでなく、食品の温めも兼ねていましたが、非常時において特にお湯が欲しい場面は多いと思います。そのような時に役に立つ製品だと思います。

(3) イーゾン 携帯おかん器

  • 参考価格(Amazon、税込み) 1,356円
  • セット数 5
  • セット内容
    • 加熱袋 1袋
    • 発熱剤 1個
  • サイズ(パッケージ) 120×160×35mm
  • 重量 約165g
飲み物の温めに便利

雑貨の卸売りや商品開発などを行う有限会社 イーゾンのあたためグッズです。「おかん」は「お燗」ということで、温めたお酒という意味ですが、そこから広く意味を取り、(主に)飲み物を温めるセットと言えるでしょう。ちなみに発熱剤は先に取り上げたモーリアンヒートパックを使用しています。そのため、使用時には換気の良い場所で使うようにしましょう。

基本的な使い方は変わらず、加熱袋に温めたいものを入れ、発熱剤と水を反応させて温めます。こちらは先の二つよりもより飲み物の温めに焦点を置いた製品になっています。もちろんレトルト食品なども温められますよ。非常時だけでなく、レジャーなどにも重宝しそうです。

3.電気(車)を使う

JPN 直流家 ワクヨさん

  • 参考価格(Amazon、税込み) 5,981円
  • サイズ 75×75×248mm
  • 包装重量 768g
  • 材質
    • ポリカーボネート
    • 特殊ガラス
  • 容量 400ml
シガーソケットから電源を取ります

商品コンサルタントや災害防災用品などの事業を行う株式会社 ジェーピーエヌより、こちらのワクヨさんを取り上げました。

車のシガーソケットを利用する前提で作られており、ガラス製のビンに最大400mlまで水を入れて沸かすことができます。湯沸かし完了までの時間は20~30分です。

災害で停電が発生し、家の電気が使えない状況では、車のバッテリーを使うというのも一つの選択肢です。電源はシガーソケットから取ることができますが、車から取れる電気は直流(DC)12Vあるいは24Vでして、家庭用のそれ(交流(AC)100V)と異なります。そのため、家の電気製品をそのまま使うことは難しいのです。

ちなみにインバーターと呼ばれる機器(直流を交流に変換)を利用すると家電を使うことができます。昨今注目されている車中泊でも導入事例が増えているようです。ただ、電気ケトルなどを使う場合はシガーソケットではなく、バッテリーに直接配線することが必要になると思います。お湯を沸かすというのは、実はものすごく電力を必要とする作業なんです。

こちらのワクヨさんは、インバーターを使わずシガーソケット経由でお湯を沸かせるという点で非常に便利な製品だと言えるでしょう。

まとめです

今回の防災グッズは、非常時にものを温める「あたためグッズ」を取り上げました。ふだんの私たちの暮らしの中で火、あるいはIHで料理をしたり、お湯が必要になって電気ポットを使う、という場面がほぼ毎日あるかと思います。

しかし災害時にはそれができなくなってしまう可能性があります。毎日何気なくふだんの生活に溶け込んでいることができなくなることは、大きな不安になります。

今回あたためグッズを取り上げたのは、冒頭にも少し触れました巨大地震の想定を調べたことがきっかけです。寒冷地にクローズアップされた被害想定もありましたが、これらのグッズは季節を問わず役に立ってくれることと思います。これからもしっかりと備えをしていきましょう。

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