こんにちは、管理人のアカツキです。今回の防災アプリは「停電情報アプリ」です。
今年3月末、首都圏を中心に電力需給ひっ迫警報なる警報が初めて発出されました。電力が足りなくなるので停電が起きるかも・・・ということを知らせる情報ですが、背景には地震による火力発電所へのダメージがありました。
このことについては、次の記事でも解説をしています。合わせてご覧ください。
災害時には電力などのインフラが使えなくなる可能性があり、実際にそのような事態は起こり続けています。そこで本記事では、特に電力供給についての情報がどこから提供され、またどのように利用できるのか、見ていくことにしましょう。
電気のことは電力会社に
まずは基本的なことを確認しましょう。上の画像のように日本の電力供給ネットワークは大きく10のエリアに区分されており、それぞれのエリアを管轄する10の電力会社(一般送配電事業者)によって管理運営されています。いずれも私たちにとってはなじみのある会社ですよね。
そして餅は餅屋ということわざがあるように、停電に関する情報は電力会社が提供する情報を確認するのが手っ取り早いということになります。
停電情報アプリ一覧
という訳で各電力会社が提供している停電情報アプリの一覧を見てみましょう。合わせて停電情報を提供するサイトも押さえておきましょう。
エリア | 電力会社(送配電事業者) | アプリ名 |
北海道 | 北海道電力ネットワーク株式会社 | LINEによる連携 |
東北 | 東北電力ネットワーク株式会社 | 停電情報通知アプリ |
関東 | 東京電力パワーグリッド株式会社 | TEPCO速報 |
中部 | 中部電力パワーグリッド株式会社 | 停電情報お知らせサービス |
北陸 | 北陸電力送配電株式会社 | 停電情報お知らせサービス |
関西 | 関西電力送配電株式会社 | 関西停電情報 |
中国 | 中国電力ネットワーク株式会社 | 中国電力ネットワーク停電情報 |
四国 | 四国電力送配電株式会社 | LINEによる連携 |
九州 | 九州電力送配電株式会社 | なし(メール登録サービスあり) |
沖縄 | 沖縄電力株式会社 | なし(メール配信サービスあり) |
停電だけじゃないアプリも
表のように多くの電力会社が停電情報を提供するアプリを配信しています。もちろん停電情報が中心に配信されるようになっていますが、特に東京電力パワーグリッドのTEPCO速報は雨雲の様子や地震情報なども確認することができるようになっています。
これらの情報は停電との関係も深く、合わせて確認することでより幅広い情報を得ることができるでしょう。
LINEと連携して停電情報を確認
北海道、四国、九州、沖縄エリアについてはアプリによる停電情報の提供は行われていません。しかし、北海道と四国エリアではLINEと連携することで、九州、沖縄エリアではメール登録をすることでお住まいの地域の停電情報が届くサービスを展開しています。
電力会社だけど・・・?
ここまで各電力会社が提供する停電情報の確認方法について見てきました。ところで、今まで見てきた電力会社ですが、よく見ると何やら社名に「ネットワーク」や「送配電」といった言葉が付いていませんか?
電力会社といえば〇〇電力という会社名が思い浮かびますが、停電情報を提供する会社名は同じではないようです。しかし、〇〇電力の名前も付いていますから、各電力会社と関係が深いことは想像できます。
実はこれらは「送配電事業」を行う会社です。いずれも2016年(平成28年)以降に出来た新しい会社であり(沖縄電力を除きます)、電力会社の「法的分離」によって生まれたという経緯があります。
背景には電気事業の改革がありました
電気が私たちの家に届き、使われるまでには次のような流れがあります。
- 電気を作る(発電)
- 発電した電気を変電所まで送る(送電)
- 変電所から各家庭などに電気を届ける(配電)
- 電気を使うために使用料金を払う(小売)
戦後、電力会社はこれら全ての事業を独占して行っていました。これによって当たり前に電気が手に入る環境が出来上がって来ましたが、1990年代に規制緩和を求める声が起こり、1995年(平成7年)に第一次電気事業制度改革が行われました。
改革は第五次まで行われ、2016年(平成28年)には電力小売の完全自由化がなされました。ちょうどこの頃から、有名な企業が電気を切り替えませんか?といった広告を出してきていましたよね?
そして2020年(平成30年)、先ほどの電気が作られてから使われるまでの一連のステップの内、送電・配電(送配電)について、第五次改革の仕上げとなる法的分離が行われました。これは何かと言うと、送配電を管理する会社を電力会社から独立させなさいという改革です。
この送配電ネットワークを中立化させることで、電力事業に参入する企業の競争環境が整備される、そのような狙いがあります。ただ、ネットワークまでも自由化するとその管理などで余計なコストがかかりそうですよね。
そこでこの部分は管轄地域ごとに1社が管理するということになりました。そうして誕生したのが先ほど来取り上げてきた送配電会社(きちっとした呼び方では一般送配電事業者と呼びます)ということなんですね。
また、沖縄電力については特例で法的分離が行われておりません。これは沖縄県が160の島々からなるという地域事情があるからです。
そのすべてに電力網が張られているわけではありませんが(沖縄電力によると沖縄本島を含めて37の有人離島)、災害などが起こった時には、発電や送配電、小売事業者がそれぞれに対応するよりもまとめて一体となって行った方がより電気を使う人のためになる、そのような考えから例外とされた経緯があります。
まとめです
今回の防災アプリは「停電情報アプリ」を取り上げました。災害に備えた対策の一つとして、各電力会社のアプリを利用して素早く停電情報を手に入れる体制を整えてみましょう。