こんにちは、管理人のアカツキです。
今回お届けする防災グッズ情報はスノーヘルパーとスコップです。
季節は移ろい、こたつのぬくもりが恋しくなる冬がすぐにやって来ます。
そして冬において私たちが注意しなければならない自然災害の一つは、雪による雪害です。
今回の記事では、特に車をお使いのドライバーの方に知ってほしい雪害への対策をお届けします。
雪害をあなどることなかれ
雪が降ると影響は様々
まずは雪についてです。ちらちらと風景美的に捉えられるくらいの雪ならまだ良いのですが、現実はそうもいきません。一日で人の腰まで迫ろうかというほどのまとまった雪がドカッと降るドカ雪もあります。こうなってしまうと交通機能がマヒしてしまいます。
雪の影響はそれだけにとどまりません。歩道に積もれば転倒のリスクがあり、歩き方に気を配らなければいけません。また家に積もれば屋根の雪下ろしが必要になり、その作業中にあやまって転落して命を落とす方もおられます。
一方で道路に目を向けると、雪は降るけれども、それもすぐにとけて大きく影響がなさそうに思えます。しかし日々しんしんと降る雪はやがて根雪になり、無数のタイヤがその雪を固め、やがて凍結します。これが俗に言われるアイスバーンです。
特に夜間の凍結アスファルト路面はブラックアイスバーンと呼ばれ、本当に凍結しているかの見分けが付きにくく、冬道走行で最も気を付けたいものの一つです。
このように防災という観点で見ると、雪による影響は決して小さいものではないということが想像できるかも知れません。そして雪による災害は雪害と呼ばれています。
データで見る雪害
首相官邸のホームページでは、雪害について次のようなケースに分けて解説しています。
- 除雪中の事故
- 車による雪道での事故
- 歩行中の雪道での事故
- 雪のレジャーでの事故
- 雪崩による事故
首相官邸ホームページ 「雪害ではどのような災害が起こるのか」より
いずれも冬期間、気を付けたい事柄ばかりです。
それでは毎年雪害によってどのような被害が出ているのでしょうか。
こちらは内閣府で発行している防災白書の一部です。
自然災害による死者と行方不明者の内訳が表わされています。
ここで注目してほしいのは表の分類です。
風水害や地震・津波、火山に加えて雪害の項目が設けられていますよね。
この表から、毎年雪害によって多くの人が命を落としているということが読み取れます。
そしてその数は決して少なくないことに注意が必要です。
車はスタックと立ち往生に注意を
このような雪害について、車を運転するドライバーの方が気を付けたいものに大雪によるスタックと立ち往生の発生が考えられます。
もちろんこれらに限らず、気を付けなければならないことはいくらでもあるのですが、本記事では特にこの二つにスポットを当ててその対策を見ていきたいと思います。
スタックは焦っちゃダメ
まず一つ目はスタックについてです。
スタックは英語でstuckとスペリングされます。実はこれはstickの過去形・過去分詞形になっています。stickは棒とか棒状のものを指す単語ですが、これは名詞としての意味ですね。一方で動詞としては(とがったものを)刺すとか突き刺すという意味があります。
ここから意味を広げ、何かがそこに突き刺さったままになっている、と考えていくと刺されたものがそこから動けない、行き詰った状態になっているというようなイメージが見えてきます。
つまり車で言う所のスタックとは、雪道やぬかるんだ道、溝(に車が突っ込ん)で車のタイヤが空回りしてしまい動力が地面に伝わらず、動けなくなってしまうことを指すんですね。
余談ですが、仕事などで付箋(ふせん)を使う方も多いと思います。何かメモを書いてペタッと張るやつですね。
Macにはそのはるか昔、漢字Talkという日本向けのOSがありましたが、その頃からでしたか、スティッキーズという付箋ソフトがありました。この英語のスペルはstickiesとなります。これってstickの複数形ですよね。先ほどstickには突き刺すという意味があったと述べました。実はstickにはくっ付ける、貼り付ける、という意味もあります。余談でした。
さて、この雪道でのスタックに対してはどのような対応をすれば良いでしょうか。
そのスタックの状況も色々考えられますが、基本的にはタイヤを地面に接地させてその回転を伝えることが大事です。
ですので、車を前後に動かすことを繰り返すことが一つの対策です。
そうすることで雪が固められ、また反動もあって脱出につながります。
またFR車(フロントエンジン・後輪駆動)の場合は、同乗者がいれば後部座席に乗ってもらったり、荷物を置いたりして車体後方を重くすることがポイントです。
他にも雪に乗り上げてしまう場合もあるかと思います。この場合は車周りの雪を取り除いてやる必要があります。そうした上で先ほどと同じように車を動かしたりすることでスタック解消できる可能性があります。
そしてスタック解決に役立つのが砂です。これをタイヤ周りに振りかけることでグリップ力を上げようという考えです。冬期間はトランクに砂袋なども常備しておくと良いかも知れません。
ちなみに北海道には「砂箱」と呼ばれる箱があります。中には砂利が入っており、自由に道路にまいて冬道の滑り止めに使えるようになっています。
もし救援を頼めそうであれば、その人達にお願いをして車を押してもらうことが確実だと思います。それでも無理そうであれば、けん引ロープを使ったり、JAFなどのロードサービスを呼ぶことになります。大事なことはスタックしても焦らず、冷静に状況を見て対策を行うことだと思います。
備えておきたいスノーヘルパー
このようなスタック時の対策にはもう一つあり、それはタイヤと雪の間に何かを挟み込むことです。そこで役立つのがスノーヘルパーと呼ばれるアイテムです。雪脱出プレートとも言われます。
これは板状になっており(くるくる折りたためるものもあります)、タイヤ下にかませることでグリップ力を生み出して脱出するという考え方です。
私もかつてとある大雪の日、折しも出勤途中に交差点の真ん中で盛大にスタックしてしまったことがあります。多分大丈夫だろうと思ったのですが、かなり深く雪にめり込んでしまって動けなくなってしまいました。
まさか・・・と思い、アクセルを踏もうにも前にも後ろにも全く動けず聞こえるのはタイヤが空回りする音のみ。出勤時間が迫る中で相当焦りを感じましたが、周辺にあった店の人たちがやってきて車を押してもらい、助けられた思い出があります。
この時はまだ周りに人がいたので助けてもらうことができましたが、もし人通りの少ない道でスタックしていたら、一人ではどうしようもできなかったかも知れません。
冬の備えとしてスノーヘルパーはぜひとも多くの人に常備して欲しいアイテムだと思います。
立ち往生は解消まで数日かかることも
もう一つ気を付けたい雪害、それが立ち往生です。
特に強い寒気が押し寄せて大雪が発生した時に、道路を走る一台の車が雪に起因するトラブル(スタックなど)に見舞われると次々と車が止まり、全く車の動きが取れない状態が発生します。これが立ち往生と呼ばれる状態です。
一たび立ち往生が発生すると解消には数時間、数日かかる場合もあります。その道路は解消まで詰まったままになり、物流などにも大きな影響を及ぼすことになります。
2018年(平成30年)2月 福井県の国道8号線で発生した立ち往生(共同通信)
怖いのは一酸化炭素中毒
立ち往生が解消されるまでの間、そこにいるドライバーはほとんど動くことができません。
近くにコンビニなどがあれば食料品の買い出しもできますが、特に高速道路などで発生してしまった場合はそのような補給もままなりません。車と車に持ち込んだ物だけで時間を過ごすことになります。
また天気が悪いままだと、止まったままの車列にどんどん雪が降り積もっていくことも考えられます。この時に怖いのが一酸化炭素(CO)による中毒です。一酸化炭素とは次のような性質を持つ気体です。
- 無色
- 無臭
- 空気より軽い
- 有毒
この有毒という点が重要です。私たちの体内では酸素を運ぶヘモグロビン(Hb)というタンパク質が毎日せっせと働いています。
ところが一酸化炭素はこのヘモグロビンとくっつき易いんです。その度合いは酸素と比べると200~300倍とも言われています。
一酸化炭素と結合したヘモグロビン(COHb)ができることで酸素が体内に運ばれなくなります。そのため、体が低酸素状態になり様々な症状が出てきます。
そしてCOがどこから出てくるのかというと、車の排気ガスから出てきます。つまり、雪がマフラーを覆うくらい積もった状態で車のエンジンをかけると排気ガスが車内に入り込むということです。
その結果、車内で一酸化炭素中毒を起こしてしまいます。その症状はCO濃度によりますが、軽ければ頭痛やめまい、重ければ意識障害、最悪は死亡です。
こちらはJAF(日本自動車連盟)が行った実験動画です。車が埋まった状態でエンジンをかけた場合、排気ガス(一酸化炭素)がどのように車内に入り込むかが明確に示されています。その結果はかなり衝撃的なものです。ぜひご覧ください。
動画にもありますが、CO中毒を防ぐのに大切なことはマフラー周辺の雪を取り除くことです。
スコップも備えておきたい
そのような理由から、もしものために冬の車内にはスコップを備えておくことが大事です。
スコップがあればスタック時に周りの雪も取り除けますし、大いに役立つはずです。
以上のことから、本記事では雪害の防災グッズとしてスノーヘルパーと車載用のスコップを取り上げたいと思います。実際にどのような製品があるか、見ていきましょう。
また、スコップにおいてはスコップ、シャベル、ショベルなど色々な呼び名があることはご存じかと思います。一般的には小さなものをシャベル、大きなものをスコップと呼ぶかと思いますが、実は東日本と西日本で逆の認識になっているという話もあります。
他には土などを掘るために足をかける部分があるのがシャベル、土などをすくうために先が幅広い形になっているのがスコップということも聞いたことがあるかも知れません。いずれにせよ、足を突っ込むと眠れなくなりそうなので、この辺りはあまり意識せずに取り上げていきたいと思います。
スノーヘルパー
(1) 大自工業 スタックヘルパー
矢印プレートでグリップ力アップ
自動車用品の製造販売を行う大自工業株式会社が展開するブランド「メルテック」のスノーヘルパーです。2枚1組のセットで販売されています。
こちらのヘルパーで特徴的なのが矢印のパターンで、この部分には細かな突起もあります。
突起は両面にありますので地面(雪、砂)とタイヤ両方にかみ合うことでスタック脱出を行います。
付属品として長さ2mのひもが付いていますので、状況に応じて活用しましょう。
(2) クレトム ハニカムヘルパー
ハニカム構造で荷重に耐える
自動車用品の企画、製造、販売などを行う株式会社クレトムのスノーヘルパーです。
ヘルパーの形状は、六角形が繰り返されたいわゆるハニカム構造を取っています。板の薄さは17mmとスリムながらもその構造によって車の荷重や衝撃に強くなっています。
板のオレンジ色は雪一色の中でも目立つ色になっているので確実にセットができ、スタック脱出の助けになることでしょう。
(3) コンパル 雪道脱出具スグラ
パルプを利用したスノーヘルパー
新潟県にあるガーデニング・除雪用品などを取り扱う株式会社コンパルからこちらのスノーヘルパーを取り上げてみました。「スグラ」とは、おそらくスノーグラバー(Snow Grabber)を略したものだと思われます。
こちらのヘルパーは、再生硬質パルプと呼ばれる素材から成っており、2枚1組で提供されています。パルプは紙製品の元になる素材で、植物などから取り出した繊維を指します。
使い方は、ヘルパーをタイヤの下に入れるだけです。これによって雪道からの脱出を促します。
対象としているのは普通乗用車程度の車両ということです。
網目上になっているので、よりグリップ力を上げる工夫もされています。
収納場所も取らず手軽に備えられるスノーヘルパーと言えるのではないでしょうか。
(4) エクスファクター スタックラダー
車載用品やアウトドア用品を販売するエクスファクター株式会社(展開するストア名はLighting World)のブランド「Prairie House(プレーリーハウス)」で販売しているスノーヘルパーです。
ラダー(ladder)とは、はしご、あるいははしごに似たものを指しますが、その名の通りこちらのヘルパーははしご状の形状をしています。製品はゴム製で内部にワイヤーを入れており、約3トンの耐荷重があるとのことです。
また収納ケースが付属しており、曲げられる特性を活かして丸めて収納することができます。ケースを含む重量が少し重めに感じられますが、丈夫なつくりになっているので安心感がありますね。
車載スコップ
(1) キャプテンスタッグ スチールFDスコップ
コンパクトに折りたためるスコップ
アウトドア用品を手掛けるキャプテンスタッグ株式会社からこちらのスコップを選んでみました。
アウトドアメーカーのスコップは、コンパクトに収納できることをかなり意識して作られています。こちらもそれに漏れず折りたたみ式になっています。しかも折りたたみ時は剣先部分に柄の部分も取っ手の部分も収まるようになっていてよく考えられた構造になっています。
本体にはハイカーボンスチール鋼が使われていて強度が確保されており、剣先を曲げてクワとしても使えるようになっています。
その分サイズが小型になっていますが、車載用として申し分なく、様々な面で役に立つスコップではないでしょうか。
(2) 大自工業 スノップ
3段階の長さ調節
先ほどスノーヘルパーでも取り上げた大自工業です。冬季商品としてスコップも取り扱っております。
こちらのスコップの特徴は柄の部分を延長して長さを変えられることです。3段階の長さに対応していて、全長を915mmまで延ばすことができます。また普段の収納時には柄の部分を取り外せるのでかなりコンパクトになります。
先端部はアルミニウムで強化されており、非常時における良い備えになるでしょう。
(3) アイリスオーヤマ ポリカ車載スコップ
シンプルな車載スコップ
家電販売などを行うアイリスオーヤマ株式会社の車載スコップです。
こちらは大変シンプルな一品です。一般的に雪かきに用いるスコップは全長が100cmを超えるものも多いと思いますが、この車載スコップは車に積み込むという観点から一回り小さなサイズになっています。
しかし、足をかける部分には滑り止めがついていたり、さじ部は耐衝撃性能に優れるプラスチックであるポリカーボネートが使われています。非常用のスコップではありますが、しっかりと車に収納でき、安心して使えるスコップではないでしょうか。
(4) 浅香工業 車載用レスキューショベル バッグ付セット
トップメーカーによるショベル
スコップ・ショベルや園芸用品、物流機器などを幅広く手掛ける浅香工業株式会社のショベルです。実は浅香工業は日本で初めてスコップの国産化に成功したメーカーです。その創業は寛文元年、なんと今から360年前の1661年という老舗の会社です。
そんなスコップ・ショベルのトップメーカーによるこちらのショベルはスチール製。重量は1.26kgとやや重いですが、その分強度や使い勝手に心配は無用でしょう。
サイズも車のトランクに入る大きさになっており、専用のバッグも付属します。
(5) ロゴス LOGOS the ショベル
ショベル+ウインドウハンマー+エマージェンシーホイッスル
こちらもアウトドア用品のメーカーです。株式会社ロゴスコーポレーションからLOGOS the ショベルを取り上げました。
他の製品と異なり、こちらのショベルは非常時に車の窓を割るウインドウハンマー、存在を知らせるエマージェンシーホイッスルもセットになっています。
ショベルは分割されたハンドルを組み立てて使うようになっていて、刃先の角度を変えることでクワとしても使えます。主な材料にアルミ合金とステンレスを使用していますので強度は十分です。
分割組み立て式ですので収納も場所を取りません。この辺りはさすがアウトドアメーカーだと思います。ショベルだけではなく役立つ機能も備えた一本だと思います。
まとめです
今回の防災グッズは、雪害対策として備えておきたいスノーヘルパーとスコップを取り上げてみました。どちらも非常時に必ず役に立つアイテムだと思います。
ただ気を留めておいてほしいのは、冬道を走る際は万全の準備が必要になるということです。冒頭に首相官邸のホームページをご紹介しましたが、そこでは更に多くの準備をすることを呼びかけています。
- 冬道運転の装備品
- タイヤチェーン、ジャッキ、けん引用ロープ、工具、ブースターケーブル(バッテリー上がりに使います)、スノーヘルパー
- 防寒具、雨具、長靴、作業衣類、手袋、軍手、タオル、着替え、毛布、使い捨てカイロ
- スペアタイヤ(冬道用)、滑り止め用砂、除雪用ブラシ、停止表示板、発煙筒
- スコップ、非常用の水、食料、旗(目立つ色の布)、懐中電灯(電池)、ラジオ
首相官邸ホームページ 「雪害ではどのような災害が起こるのか」より
バッテリー上がりについては、他の車からエンジン始動に必要な電力を分けてもらう必要があり、そのために必要なアイテムとしてブースターケーブルがあります。しかし、救援となる車がいることが必須です。
そこで近年では、モバイルバッテリーとしても使えるジャンプスターターと呼ばれる製品が登場しています。これを使用すると一人でもエンジン始動ができるようになります。機会があればこちらも取り上げてみようと思っています。
そして立ち往生に巻き込まれたことを考えると携帯トイレも重要です。携帯トイレについてはこちらの記事でも取り上げていますので、ぜひご覧ください。
気象庁は先月11月10日にラニーニャ現象が発生しているとみられる、と発表しました。
この現象が起こると今冬は日本海側で大雪になる可能性があります。まだ予測に幅があるようですが、私たちが今できることは事前に対策をしておくことです。雪害対策を万全にしてこの冬を乗り切っていきましょう。