こんにちは、管理人のアカツキです。今回取り上げる防災グッズは「ヘッドライト」です。非常時に大変役立つライトグッズですが、当サイトではこれまでに地震を感知して自動的に点灯する「足元灯」、長時間明るい光で周りを照らす「LEDランタン」を取り上げてきました。
そしてつい最近のことですが、去る16日に福島県沖を震源とする最大震度6強の地震がありましたね。この地震によって火力発電所が被害を受け、首都圏を中心に電力が不足し、大規模な停電が起きるという事態になりました。
このようなことから、非常時に周りを明るくするライトグッズを備えることの重要性をさらに強く感じましたので、ヘッドライトについて取り上げ、そのメリットについてご紹介していきたいと思います。
ヘッドライトとは
頭に固定して使用します
ヘッドライトとは、その名前の通り頭部に固定して使用するライトです。通常、暗闇を照らすライトは手に持って使うことが多いと思います。そのような時に作業性という観点から見ますと、ライトを持ちながら作業をするよりも、どこかに置いたり固定して周囲を照らして行った方がはるかに楽ですし、進ちょくも早くなることが考えられます。
ヘッドライトはライト部分を頭に固定することで、常に目の前に明るい場所を作り出せます。そして手が空きますので何かの荷物を持ったり作業することもできます。移動もライトを持ちながらではなく、身に着けながら(頭に固定しながら)できますので、メリットが大きいです。
それでは先ほど取り上げました足元灯やLEDランタンといったライトグッズとは、どのような点で違いがあるのでしょう。少し整理してみると次のような感じになると思います。またここで足元灯は、非常時に懐中電灯として持ち運ぶ場合を考えてみました。
ライト | 作業性 | 携帯性 | 使用時間 |
足元灯 | 〇 | 〇 | 〇 |
LEDランタン | 〇 | 〇 | ◎ |
ヘッドライト | ◎ | ◎ | 〇 |
作業性や持ち運びやすさという観点での携帯性といった所で、ヘッドライトは他のライト製品に比べて分があるように思います。
またLEDランタンは使用時間が十数時間というものも珍しくはなく、モバイルバッテリーとしての役割も兼ね備えているものが一般的になりつつあります。そのため使用時間ではやや短くなりますが、非常時に備える明かりの選択肢としてヘッドライトは十分実用的であると言えるでしょう。
福島県沖地震に見る地震の電力への影響
次に、防災グッズとしてのライト(ヘッドライト)を備えることの重要性について見ていきましょう。大きな災害時には電力や水道などのインフラも影響を受け、さらに一度それらが停止してしまうとその影響が長期化することも想像に難くありません。
そして最初にも述べました、3/16に発生した福島県沖を震源とする地震です。この地震はその規模を示すマグニチュードが7.4と大きく、宮城県と福島県で最大震度6強という大変強い揺れを観測し、一時的に津波注意報も発令されました。
この地震によって首都圏では大規模な停電が発生し、最大で210万戸に及びました。実際に停電を体験された方もおられるかと思います。また街中の街灯が一斉に消えてしまった映像も報道されました。
停電の原因は、地震によって火力発電所が停止してしまったことにありました。
内閣府の防災情報のページにその被害情報がまとめられており、3/28 6:45現在の情報によりますと、次の発電所で被害が報告されています(計5基、282.4万kW)。
電力会社 | 送電エリア | 発電所 | 燃料 | 出力(万kW) | 復旧の見通し |
東北電力 | 東北 | 原町火力発電所1号機 | 石炭 | 100 | 5月上旬 |
相馬エネルギーパーク | 東北 | 相馬石炭・バイオマス発電所 | 石炭・木質ペレット | 11.2 | 3月中 |
仙台パワーステーション | 東北 | 仙台パワーステーション | 石炭 | 11.2 | 未定 |
JERA | 東京 | 広野火力発電所6号機 | 石炭 | 60 | 4/7見込み |
相馬共同火力発電 | 東北・東京 | 新地火力発電所1号機 | 石炭 | 100 | 未定 |
特に被害が大きいのが福島県新地町にある新地発電所(火力)です。こちらには1号機、2号機の二つの発電施設があり、その出力はそれぞれ100万kWと国内最大級の発電能力を持っています。作られた電気は、東北電力と東京電力管内の地域に届けられます。
発電所の状態ですが、地震前は1号機は運転中、2号機が停止中の状態でした。そして大きな揺れによって1号機が自動停止。その後、燃料である石炭を運んできた船から石炭を陸に揚げるクレーンである揚炭機(ようたんき)が壊れてしまったことが分かりました。また、先ほどの表にもありますように、その復旧は未定になっています。
このように、地震によって発電所がダメージを受けることで私たちの暮らしにも影響が出ることが見て取れるかと思います。実は新地発電所では、昨年令和3年(2021年)2月に発生した福島県沖地震によっても運転停止という影響を受けており、その発電が再開されたのは1号機が昨年9月上旬、2号機が昨年12月末のことでした。
大きな発電能力を有する発電所がようやく運転を再開したが、再び起こった地震によって運転停止に追い込まれ、さらに冬に逆戻りしたかのような寒気が入ってきたことで一気に電力の需要が高まり、先日発表された電力ひっ迫警報が出される事態になった・・・それだけではなく、今回の地震では東北新幹線も脱線してしまいました。電力だけでなく、交通インフラにも被害が及びました。
火力発電所は一度停止してしまうと再稼働まで修理点検を行わなければならず、大変な時間がかかります。昨年末に政府から発表された「日本海溝・千島海港沿いの巨大地震」についての被害想定でも、電力に及ぼすとされる影響が示されています。
(出展)
内閣府 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループー被害想定について
2.日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について【被害の様相】(PDF) 63~64ページ
ここで想定されている地震は、東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震よりもさらに大きな規模のものですが、今回の地震についてもある程度同じ被害が考えられる、と言えるのではないでしょうか。
ヘッドライト紹介
それでは実際にどのようなヘッドライトがあるのか、見ていくことにしましょう。ですが、その前にちょっとだけライトの明るさについて確認です。
明るさを表す指標としてルーメン(lm)、カンデラ(cd)、ルクス(lx)の三つがあります。かなり大ざっぱになってしまいますが
- ルーメン
光源が出す光の全量(光束) - カンデラ
ある方向に照射された光の強さ(光度) - ルクス
ある面に照射された光の強さ(照度)
となります。ほとんどのライトにはルーメンでその明るさが示されています。一応ルーメンの値が大きければ明るいライトと言えますが、その次にカンデラの値も見る必要があります。
ルーメンが大きい、つまり光の量が多くてもそれがある方向に集中して向かっていないと結局は照らしてほしい部分が思ったよりも明るくない、ということになってしまいます。
この時にはカンデラの値を見ることでその明るさが分かります。ですのでそのライトのルーメン数が大きいから単純に明るいとはならないことに注意してみてください。
後ほど取り上げますが、ライティングメーカーのジェントスのこちらが分かりやすい説明をされていると思います。ぜひご覧ください。
アイリスオーヤマ LDH-450Z
- 参考価格 770円(Amazon、税込み)
- 使用電池 単3形電池 3本
- スポット・ワイド配向切り替え
- 点灯パターン、明るさ、点灯時間
- HIGHモード(全点灯)、450ルーメン、6時間
- LOWモード(40%の明るさ)
- 点滅モード
- 照射距離 65m(全点灯・スポット時)
- 重量 約140g
- IPX2(防滴II形)
(15度以内で傾斜しても鉛直に滴下する水に対して保護)
明るく長持ちするヘッドライト
まずは家電メーカーのアイリスオーヤマ株式会社のヘッドライトです。こちらはシンプルなヘッドライトという印象ですが、全点灯時の明るさは450ルーメンと非常に明るく、レンズ部分を切り替えることでより広い範囲を照らすこともできます。
その点灯時間も全点灯モードで6時間あり、十分長時間の使用が可能になっています。価格も抑えられており、お求めやすい一品になっていると思います。
ELPA(朝日電機) DOP-HD701
- 参考価格 1,628円(楽天市場、税込み)
- 白色LED×1灯、COB LED×2灯
- 使用電池 単4形アルカリ電池 3本
- 点灯パターン、明るさ、連続点灯時間
- 中央+サイド
210ルーメン、約6時間 - 中央 HI
145ルーメン、約11時間 - 中央 LOW
40ルーメン、約21時間 - サイド 白色
100ルーメン、約9時間 - サイド 赤色
10ルーメン、約2時間
- 中央+サイド
- 本体サイズ 幅60×高さ45×奥行39mm(最大値)
- 重量 約54g(ヘッドバンド、電池除く)
- IPX4(防沫形)
(水の飛まつに対して保護) - 付属品 ヘッドバンド
サイドライトで近くを照らせる
電機製品メーカーの朝日電器株式会社(ELPA)からこちらのLEDヘッドライトを取り上げました。DOP-HD701には、中央の白色LEDに加えてサイドにもLEDが組み込まれています。
この部分はCOB LEDと呼ばれるものでして、COBとはチップオンボードの略称です。LEDを直接基盤に取り付けていて、その分より広い範囲を照らすことができるLED構造になっています。
そして中央のライトで主に遠くを、サイドライトで近くを照らす使い分けができるようになっています。点灯パターンも中央とサイドの両方を点灯させたり、サイドのみの点灯も可能です。この場合、サイドを赤色にすることも出来ます。
赤色の光は、白色と違ってまぶしさを感じにくいため、暗さに目が慣れる必要がある場合に役立ちます。このような色のオプションがあるヘッドライトは重宝するでしょう。
ロゴス neos ノンタッチヘッドライト
- 参考価格 1,980円(Amazon、税込み)
- 使用電池 単4形アルカリ電池 3本
- 明るさ
- LED球値 約100ルーメン
- ロゴス基準値 約59ルーメン
- 点灯モード
- ノンタッチモード 点灯/消灯
- 通常モード 強/弱/点滅
- 赤色モード 点灯/点滅
- 常用点灯時間目安 強で約7時間
- 本体サイズ 約6×4×3.5cn
- 総重量 約50g
- 防水性能 IPX4
(水の飛まつに対して保護) - 付属品 ヘッドバンド
手かざしで点灯するノンタッチモード
アウトドアメーカーのロゴス株式会社のヘッドライトです。こちらも白色と赤色の2色を発光することが可能です。また、ライトの角度も5段階変えることができるので、より照らしたい部分に光を合わせることができるでしょう。
そしてこちらのヘッドライトにはノンタッチモードが搭載されています。組み込まれたセンサー部分に手をかざすだけでライトが付くという機能になっていて、より作業性が上がるようになっています。
またベルト部分がバックル式になっており、装着が簡単になっている点もアウトドアメーカーならではの着眼点だと思います。
GENTOS CP-260R
- 参考価格 1,850円(Amazon、税込み)
- 高輝度チップタイプ白色LED、照射角固定ワイドビーム
- 使用電池 リチウムポリマー充電池
- 充電時間 約2時間
- 電池寿命 約300回
- 点灯モード、明るさ、光度、照射距離、点灯時間
- Highモード
約260ルーメン、2500カンデラ、100m、約2時間 - Midモード
約110ルーメン、1133カンデラ、67m、約6時間 - Ecoモード
約24ルーメン、243カンデラ、31m、約15時間 - 点滅
約80時間
- Highモード
- 本体サイズ 約幅45.4×高さ42.0×奥行31.8mm
- 重量 約50g(電池含む)
- IPX4準拠防滴仕様
(水の飛まつに対して保護) - 1m落下耐久
- 付属品 Micro USBケーブル(20cm)、ヘッドバンド
- カラー 4色(スプリングピンク、サマーブルー、オータムブラウン、ウィンターグレー)
USBケーブルで充電できるヘッドライト
ライティング製品の企画・開発販売を行うジェントス(GENTOS)株式会社のヘッドライトです。こちらは乾電池を使わず、リチウム充電池を使用していることでUSBケーブル経由で充電して使用することができます。ヘッド部分は可動式で照らしたい部分を変えることも可能です。
その明るさもHighモードで260ルーメンと十分明るく、スタンダードなヘッドライトと言えるでしょう。首にかけることも出来ますのでより手元のものを見たい、探したいといった需要にも応えてくれる製品だと思います。
GENTOS LR-H333D
- 参考価格 4,418円(Amazon、税込み)
- 高輝度チップタイプ白色LED、フォーカスコントロール機能
- 使用電池 単3形アルカリ電池 3本
- 点灯モード、明るさ、光度、照射距離、点灯時間
- Highモード
約300ルーメン、6560カンデラ、162m、約12時間
- Midモード
約150ルーメン、3037カンデラ、110m、約23時間
- Ecoモード
約30ルーメン、672カンデラ、52m、約60時間
- 後部認識灯・点灯モード
約125時間 - 後部認識灯・点滅モード
約180時間
- Highモード
- 本体サイズ
- ヘッド部分
約幅69.4×高さ45.5×奥行40.5mm - 電池ボックス部分
約幅81.0×高さ51.0×奥行27.0mm
- ヘッド部分
- 重量 約207g(電池含む)
- IP64準拠 対じん・防滴仕様
(粉じんが内部に入らず、水の飛まつに対して保護) - 1m落下耐久
- 付属品 ヘッドバンド、テスト用電池
長時間点灯できるヘッドライト
防災という観点からヘッドライトを見た時、より長い時間周りを照らしてくれる明かりも必要になるのではと思います。そこで同じジェントスのLR-H333Dもピックアップしてみました。
LR-H333Dは、GENTOSの製品の中でも長時間点灯が特徴であるLong Render(ロングレンダー)シリーズの一つになり、その点灯時間は一番明るいHighモードで約12時間と非常に長持ちします。
またライトをしぼることもできて、より幅広く照らすワイド照射とある部分をはっきりと照らすスポット照射も可能です。バンド後ろには後部認識灯が付いていて点灯、点滅の両モードが使えるようになっており、機能的にも充実したヘッドライトになっています。
まとめです
今回の防災グッズは「ヘッドライト」を取り上げてみました。少しスケールが大きい話ですが、私たちが住んでいる地球では昼と夜が必ず訪れます。そして夜は明かりが無いとまともに行動することもままならなくなってしまいます。
現代は電気製品が充実したおかげで夜でも昼と変わらず行動することができますが、大きな災害が起こったならばその恩恵は失われ、場合によっては暗闇の中の生活、あるいは移動を余儀なくされるかも知れません。
そしてほんの少し前にそのことを実感する事態が発生したことは、今後の教訓として多くの方に刻まれたことと思います。
平時の今だからこそ、もしもの時に必要な備えを行い、防災レベルを高めていきましょう!