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2021年「福徳岡ノ場」噴火による軽石漂着のニュースまとめ

軽石の行方は… 防災豆知識
軽石の行方は…

こんにちは。管理人のアカツキです。
今回の防災お役立ち情報は、軽石漂着のニュースについてです。

今年2021年(令和3年)10月の中旬から海岸や港などに軽石が流れ着いている、というニュースが出てきました。ニュース映像で海岸近くに灰色の物体が押し寄せ、水面を覆っている光景が流れて驚かれた方も多いと思います。

いきなり降ってわいたような出来事ですが、これにはきちんとした原因があり、海底火山の噴火によるものです。

この記事では、軽石が日本にやってくる原因となった海底火山の噴火をはじめ、そこから噴出した軽石のことや軽石関連のニュースなどをまとめてお伝えしたいと思います。

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軽石の漂着は福徳岡ノ場の噴火が原因

噴火の大きさは戦後最大級

まずは軽石漂着の原因について見てみます。これはすでに報道されているように福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)の噴火によるものです。気象庁の解説ページによると、福徳岡ノ場は南硫黄島から北東約5kmにある海底火山とのことです。

そしてこの火山は今年2021年(令和3年)8月13日に巨大な噴火を起こしました。その規模はなんと明治以降で最大クラスの噴火であることがわかってきました。

ところで福徳岡ノ場ってどこ?

ところで福徳岡ノ場ってどこにあるのでしょう?これをまずは確認してみましょう。先ほどの気象庁の解説から、南硫黄島(みなみいおうとう、以前は硫黄島をいおうじまと呼んでいましたが、2007年(平成19年)に変更されました)を探すことでその場所にたどり着けそうです。地図で確認してみましょう。

福徳岡ノ場の場所 (1)
福徳岡ノ場の場所 (1)
出展 国土地理院 地理院地図

日本全図があり、東京の南に目を向けると伊豆諸島があり、さらに南に行くと小笠原諸島がありますね。ではさらにズームしてみます。

福徳岡ノ場の場所 (2)
福徳岡ノ場の場所 (2)
出展 国土地理院 地理院地図

硫黄島が見えてきました。北側には近年新しくできた西ノ島がありますね。またこの近くには父島母島もあります。

余談ですが父島には兄島や弟島、孫島が、そして母島には姉島、妹島、姪島などの島があります。ずいぶんと家族に関するネーミングが多いんですね。さらに北に行くとまだあるのですが、面白いものです。余談でした。

さて、硫黄島の南側に行くと南硫黄島があります。かなり日本列島とは距離が離れていますね。この近くに福徳岡ノ場があるはずなのですが地図には見当たりません。気象庁によれば北緯24度17分5秒、東経141度28分52秒となっていますのでそれから当たりを付けてみます。

福徳岡ノ場の場所 (3)
福徳岡ノ場の場所 (3)
出展 国土地理院 地理院地図

確かに北東約5kmにあるようです。ちなみに今回の噴火で直径約1kmの新島が形成されています。

(噴火警報・予報をクリックすると全文が表示され、新島に関する記述があります)

軽石って、何?

福徳岡ノ場の場所がわかりました。では次に軽石とは何か?ということについて見ていきましょう。

火山が噴火すると、岩石が溶けたマグマが噴出します。この時、地上付近では圧力が下がるために、マグマの中にある水などのガス成分がそれ以上溶け込めなくなって出て行ってしまいます。その状態で冷えて固まった石(火山噴出物)が軽石です。

ちなみにNHKによる小学校5・6年生、中学生向けの番組「学ぼうBOSAI」で火山噴火が取り上げられています。10分間の番組ですが「地球の声を聞こう 噴火のしくみを学ぼう」というタイトルでよくまとまった内容になっています。

この中に実物の軽石が登場してきます(Scene 06)。噴火になぞらえて炭酸飲料を噴出させる実験が行われており、軽石ができるイメージがつかめるかと思います。とても良い番組だと思います。

ちなみに同じ作られ方でできたものにスコリアがあります。こちらも軽石と同じく穴が空いていますが、色が黒っぽくなります。色の違いはマグマ成分の一つである二酸化ケイ素(シリカ)が含まれている量で決まります。多いと白く、少ないと黒くなります。

軽石は穴だらけですので密度が小さく、水に浮きます。先ほど見たように、福徳岡ノ場の噴火は明治以降最大クラスのものでした。つまり、それだけ出てくる火山噴出物の量も多いということになります。そのため軽石も大量に発生し、沖縄などに漂着したと考えられます。

(2021/11/23 追記)
後半で取り上げましたが、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センターが特集サイトを発信しています。11/19付けの福徳岡ノ場を起源とする軽石の特徴で軽石の画像を確認することができます。

福徳岡ノ場の軽石
福徳岡ノ場の軽石(沖縄県国頭村伊部海岸で採取)の特徴
出展 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
福徳岡ノ場を起源とする軽石の特徴 写真1

サイトの解説にもありますが、本当にチョコチップクッキーみたいです。さらに進むとおまんじゅうみたいな軽石もありました。火山によって軽石の見た目や特徴が大きく変わることを実感できます。
(追記ここまで)

軽石漂着に関するニュースは?(2022/3/5更新)

さて、メディアでは軽石の漂着についてどのように報道されているでしょうか。
時系列でその推移を確認してみましょう。時間が経つにつれて影響が広がっていく様子が確認できるかと思います。また、ニュースが多くなりましたので、各月へのショートカットボタンを作りました。

更新内容

  • 2021/11/23
    タイムラインを8月~10月分、11月分に分割しました
  • 2021/12/1
    12/1までのニュースを追加、また一部リンクの修正とリンク切れのチェックを行いました
  • 2021/12/10
    12/10までのニュースを追加しました
  • 2021/12/20
    12/20までのニュースを追加、リンク切れのチェックを行いました
  • 2021/12/30
    12/29までのニュースを追加しました
  • 2022/2/1
    2022/1/31までのニュースを追加しました(1月分)
  • 2022/3/5
    2022/3/4までのニュースを追加しました
    (2月分)。またリンク切れのチェックを行いました。

軽石漂着に関するニュース報道(2021.11月分)

軽石漂着に関するニュース報道(2021.12月分)

軽石漂着に関するニュース報道(2022.1月分)

軽石の今後について

気になるのが今後の軽石の流れです。基本的には海流(黒潮)に乗って移動してくることが想定されます。そこで海洋開発研究機構(JAMSTEC、ジャムステック)においてその予測動画が公開されています。

こちらの予測は、コンピュータシミュレーション技術で季節予測や海流予測などを行うアプリケーションラボによるものです。期間は11月末までです。

(2021/11/23 追記)
11/22時点の最新シミュレーション動画が公開されています。アプリケーションラボのYoutubeチャンネルにまとめられていますのでこちらも確認してみてください。

またジャムステックによる軽石コラムも掲載されています。福徳岡ノ場の噴火と軽石漂流について、その成分についての解説と、SNSからそれらを見るという大変面白いコラムです。

(追記ここまで)

ところで、これを見ると東海沖あたりで海流の流れがぐにゃっと曲がっていませんか?これは軽石を運ぶであろう黒潮の流れがぐにゃっと曲がっているためです。この現象は黒潮大蛇行と呼ばれています。

黒潮は大きく次のような3つの経路を取ることがわかっています。その内2つは非大蛇行経路と呼ばれるもので、もう1つが大蛇行経路です。

黒潮の流路
黒潮の流路
出展 気象庁 海水温・海流の知識 > 黒潮

実は現在、黒潮は大蛇行しています。しかもそれは2017年(平成29年)の8月下旬から始まり、今に至るまで4年以上も続いています。

アプリケーションラボでは、この黒潮予測も黒潮観測ウォッチとして提供しています。ただ、現在はセキュリティ上の問題対応でジャムステックのサイト上で公開されておらず、Youtubeのチャンネルで公開されています。

おそらくまた新たな軽石漂流の予測が出ることになると思いますが、こちらの黒潮の流れも注目してみると何かが見えてくるかも知れません。

また、国の機関などが情報を発信しておりますのでこちらもリストアップしてみました。
(2021/11/23 国土交通省と沖縄県を追加しました)

まとめです

今回の防災お役立ち情報は軽石の漂着についてお届けしました。
火山の噴火は陸地で起こることもあれば海で起こることもあり、そしてその影響が数か月遅れて目に見えてくることに驚きました。

このことをメディアはどのように伝えているのか興味を持ちましたのでニュースの収集をしていましたが、一か月でニュースが消えてしまうメディアもあることがわかりました。

日々多くの記事が出てくることは承知していますが、ぜひ記事をアーカイブするなどしてほしいところです。記事中で時系列に沿ってニュースを追ってみましたが、時間が経過するにつれて影響が広がっていくことが実感できました。

今後も軽石関連のニュースを収集していきたいと思います。

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