こんにちは!管理人のアカツキです。
前回は「ピクトグラム」について取り上げました。
このピクトグラムは、災害時に必ずあなたの助けになります。
ところでもう一つ、最近街中で見かけるようになったシンボルがあります。
「あっ、見たことあるかも・・・」とお気付きになったかと思います。
主にコンビニの入り口付近に貼られているステッカーなんです。
実はこれも災害時に重要な役割を果たすシンボルなんです。
今回はこれが何を意味するのか見ていくことにしましょう。
もし外出時に被災したら・・・
災害はいつ起こるか分かりません。
そしてそれはあなたがどこにいても起こる可能性があるんですね。
私も当時、職場で東日本大震災(平成23年(2011年)3月)に被災したことを思い出します。
一晩職場に留まり、翌日の朝にかろうじて動いていた電車を乗り継いで帰宅しました。
職場で待機せず、その日に歩いて帰る選択肢もありました。しかし、私は待機を選びました。
同僚の中にはタクシー相乗りで帰ろうとした方もいました。
(後日話を聞くと、渋滞が激しく帰宅までかなりの時間を要したということです)
私の場合は自宅まで20km以上あったこと、電車通勤で沿線の地理に詳しくなかったこと。
そして電車が止まっていたことから、その日の帰宅をあきらめました。
手段として歩いて帰れないことはありませんが、この距離はためらいます。
また人が歩く速さは時速4kmと言われています。
このペースで歩いたとしても、最低5時間以上は要します。
到着するころには、相当時分が経過し日付が変わっていることでしょう。
さらに季節は3月。春先とはいえ夜の気温は一ケタ台です。
付近のコンビニ、スーパーは食料品がほぼ売り切れておりました。
そのため職場に留まるのが最善だと判断しました。
私の場合はたまたまそれが職場でしたから、そこで寝泊まりをすることができました。
しかしこれが街中であったり、電車に乗っていたり、またどこかの道路で車を運転している
といった状況も考えられます。
そういった状況で帰宅が困難になってしまった時、あなたの手助けをしてくれる施設があればありがたいですよね。
その一つが、これからご紹介する「災害時帰宅支援ステーション」です。
コンビニなどで帰宅困難な人を支援
「災害時帰宅支援ステーション」(以下の記事では支援ステーションと省略します)とは、災害で発生した帰宅困難者に支援をする施設を指します。
主にコンビニエンスストアが支援を行います。
これは事業者と自治体が締結する「災害時における帰宅困難者支援に関する協定」に基いて行う活動になります。
帰宅困難者とは?
では「帰宅困難者」とはどういった人たちを示すのでしょうか?
これは文字通り、被災して自宅に帰れなくなった人たちを言います。
通勤や通学、買物や観光などで自宅から遠く離れた所にいた場合、災害で電車やバスなどの公共交通機関がストップしてしまうと帰宅手段はほぼ徒歩に限られてしまいます。
参考までに、東日本大震災では首都圏で約515万人の帰宅困難者が発生したと推定されています。
(内閣府推計:首都直下地震帰宅困難者等対策協議会 最終報告 参考資料 p.6)
「水道水」「トイレ」「道路情報等」を提供します
支援ステーションでは、そのような帰宅困難者に
- 水道水
- トイレ
- 通行可能な道路などの情報
を提供することになっています。
事業者によっては、食料品などの提供や携帯電話の充電支援を行っているところがあります。
目印は「キタクちゃん」
支援ステーションには、さきほどご紹介した次のステッカーが掲示されています。
主にコンビニエンスストアが支援ステーションの取り組みを行っています。
また自治体によってはカラオケボックス、自動車販売店などと協定を結んでいる所もあります。
あなたの自治体ではどのような事業者が支援ステーションになっているでしょうか?
参考までに、2020年6月1日時点での支援協定締結状況をお示しします。
これは日本フライチャイズチェーン協会に加盟するコンビニ8社等と自治体との締結状況です。
関西から全国へ
さて、ここまで支援ステーションのあらましを述べてきました。
それでは、こういった取り組みはいつから本格化し出したのでしょうか?
これは平成7年(1995年)1月17日に発生した阪神大震災がきっかけになっています。
この震災は早朝に発生したため、多くの方が自宅で被災しました。
でももし同じ規模の地震が昼間に発生していたら?
昼間の都市部には、周りから人が入ってきます。
ビジネス街にはビジネスマン、観光地には外国人も含めた観光客が考えられますね。
そのような中で災害が起こるとどうなるか?帰宅困難者が発生しますね。
この帰宅困難者の問題が、先の震災をきっかけとして浮上しました。
そこで関西広域連合(当時は関西広域連携協議会)がこの問題への対策を開始しました。
関西広域連合(2府6県4政令市)
さて「関西広域連合」ですが、名前の通り
- 滋賀県 [県]
- 京都府 [府]
- 大阪府 [府]
- 兵庫県 [県]
- 奈良県 [県]
- 和歌山県 [県]
- 鳥取県 [県]
- 徳島県 [県]
- 京都市 [政令市]
- 大阪市 [政令市]
- 堺市 [政令市]
- 神戸市 [政令市]
から成る2府6県4政令市による広域行政体を言います。
域内の人口は2200万人。日本で最大の(特別)地方公共団体になります。
それぞれの府県単独でやるよりもこの地域で統一して事務等をやりましょう、ということですね。
たとえば防災や医療などは地域で連携して行う方が、問題に対してより素早く対応できると思います。
この前身の関西広域連携協議会が、平成17年(2005年)にコンビニや外食事業者と協定を結びました。
これが災害時帰宅支援ステーションの始まりです。
令和2年(2020年)4月現在でその協力事業者数は24社、登録店舗数は11,395店舗になります。
(以下リンクのステーション事業概要(PDFファイル)から確認することができす)
九都県市首脳会議(1都3県5政令市)
このような取り組みは首都圏でも行われています。
こちらは地方公共団体ではなく、首長の集まりになります。構成団体は
- 埼玉県 [県]
- 東京都 [都]
- 千葉県 [県]
- 神奈川県 [県]
- 横浜市 [政令市]
- 川崎市 [政令市]
- 千葉市 [政令市]
- さいたま市 [政令市]
- 相模原市 [政令市]
の1都3県5政令市になります。
この九都県市もコンビニやファミレス等と支援協定を結んでいます。
一部GSなどでも支援を受けられます
九県都市の特色として、ガソリンスタンド(GS)や自動車販売店なども支援に参加していることが挙げられます。それぞれに呼び名があり、目印となるステッカーがあります。
- 埼玉県:セーフティ・ステーション
- 東京都:災害時サポートステーション
- 千葉県、神奈川県:災害時徒歩帰宅者支援ステーション
こちらのステッカーも見覚えがある、という方がおられるかと思います。
九都県市と協定を結んだ事業者等は令和2年5月末時点で28,519になります。
基本原則は「むやみに移動を開始しない」
このように支援ステーションの取り組みが行われていて、その流れは全国に広がっています。
とは言っても、支援があるからとすぐに帰宅をしてはまずいんですね。
内閣府のガイドラインでは、発災後は「むやみに移動を開始しない」ということを掲げています。
これは、災害後の救助や救命活動、緊急輸送活動などを円滑に行うためです。
また、鉄道などの駅に多くの人が滞留する(駅前滞留者)結果、混乱の原因になります。
そのため、ガイドラインでは企業などに従業員を一定期間留めておくように呼びかけています。
そして災害発生から時間が進むにつれ、食べ物やトイレの問題が出てきます。
このほかにもけが人や病人、幼児や高齢者のケアも考えなければなりません。
そうなると、一時的に身を寄せるための一時滞在施設が必要になってきます。
近年、こういった施設も続々と整備されてきています。
まとめです
今回は、災害時帰宅支援ステーションについてご紹介しました。
普段利用しているコンビニ等が、災害時には命を繋ぐステーションになる・・・。
とてもありがたいことですね。過去の災害が教訓として生かされています。
しかし、私たちはまずこの事を知識として知っておかなければなりません。
そして「災害後にすぐに帰宅するリスク」も考えなければなりません。
次にコンビニを使われる時には、ぜひ入口に貼っているであろうキタクちゃんステッカーをじっくりと、愛らしく見つめてみましょう!