こんにちは、管理人のアカツキです。
今回の防災アプリは和歌山県防災ナビを取り上げます。
防災アプリは近年、全国の自治体がリリースして運用しているケースがかなり見受けられるようになってきました。すでにいくつかの自治体の防災アプリを取り上げたり、またそのまとめを記事にしてきたところです。
今回は和歌山県がリリースした和歌山県防災ナビを見ていくことにしましょう。
和歌山県防災ナビとは
災害時の避難をお助けします
和歌山県防災ナビは、災害が発生した時、避難場所までの道案内や防災情報を通知するお助けアプリです。和歌山県が地元の流通業や官公庁のクラウド事業などを手がける株式会社サイバーリンクスに委託し、開発されました。
リリースは2018年(平成30年)5月29日と今から3年前に行われており、着実にバージョンアップを重ねています(下表、iPhone版)。記事投稿時の最新バージョンは1.1.4(iPhone版)です。
リリース年月日 | バージョン |
2018/5/22 | 1.0.0 |
2018/5/25 | 1.0.1 |
2018/6/10 | 1.0.2 |
2018/7/4 | 1.0.3 |
2018/7/7 | 1.0.4 |
2018/8/1 | 1.0.5 |
2018/9/29 | 1.0.6 |
2019/4/24 | 1.0.7 |
2019/6/28 | 1.0.8 |
2020/1/14 | 1.0.9 |
2020/2/17 | 1.1.0 |
2020/10/12 | 1.1.1 |
2020/12/16 | 1.1.2 |
2021/3/17 | 1.1.3 |
2021/6/22 | 1.1.4 |
ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)を受賞
本アプリは、レジリエンスジャパン推進協議会が実施しているジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)にてグランプリを受賞しています。
レジリエンスジャパン推進協議会は、国土の強靭化(レジリエンス)を産・学・官・民のオールジャパンで行っていこうという団体です。和歌山県は南海トラフ地震・津波が発生した場合、早いところですと数分で津波が来るエリアもあります。そのような中で和歌山県防災ナビが評価されたことはとても意義のあることだと思います。
メイン機能は4つ+1つ
それでは実際にアプリで何ができるのかを見ていくことにしましょう。
まずは起動画面です。ヘルメットを被った犬のキャラが印象的な画面です。
こちらは和歌山県のPRキャラクターをされているきいちゃんです。
和歌山県が紀の国と呼ばれていることや、紀州犬から命名されたのだそうです。
ちなみに体のWのマークは、和歌山(Wakayama)のWと豊かな緑を意味しています。
次に起動画面からメイン画面に切り替わった状態がこちらです。
このようにスマホの位置情報から現在地の地図を表示するようになっています。
(画像は位置情報を取得せず、固定(和歌山城城ホール)した状態です)
画面左上にはメニューを表す三本の線(≡のマークです。ちなみにこれはハンバーガーに見立ててハンバーガーメニューと呼ばれています。スマホを触っていると大変多く見かけますが、実は名前があったんです)、そして右上に設定画面に進むための歯車アイコンがあります。
そして下にもアイコンがあり、現在使用している機能を表しています。今の画面はメイン画面でもあるホーム画面ということになります。
このうち、一番右端の避難先リストを除く4つが和歌山県防災ナビが提供するメイン機能になります。
ところで見出しに+1つとありますが、これはVer1.0.8で追加された防災リアルタイム情報になります。これも含めて一つずつ見ていくことにしましょう。
(1) ホーム(避難先の検索など)
タップ一つで避難先を表示
まずホーム画面から見ていきます。ここでは地図を利用して最寄りの避難所などの検索やルート案内、ハザードマップの確認ができます。
右上に避難先検索というボタンがありますので、これをタップすることで近くの避難所などが検索、表示されます。
ちなみに、検索する範囲や表示する件数は設定画面から変更できるようになっています。
また表示できる避難所などは、フィルタで絞り込みが可能です。
ちなみに避難所と言ってもその種類がいくつかあることをご存じでしょうか。よりくわしく知りたい方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
避難先が検索できました。試しに出てきた避難所をタップしてみましょう。すると施設の名前が表示されます。さらにタップすることでくわしい情報を見ることができます。現在地から最寄りの避難所などへのルートもここで表示できるようになっています。
これら県内の避難所などの情報は、和歌山県が保有する情報を使用しているとのことです。
実は全国の避難所などの情報も確認することができるようになっています。
この情報については自治体のオープンデータや各自治体から提供された情報をもとに、ファーストメディア株式会社が独自に調査した情報を付け加えているということです。
ファーストメディアは全国避難所ガイドという防災アプリを配信している会社です。このアプリについても記事を書いていますので、ぜひこちらもご覧ください。
☆の意味とは?
ところで・・・さきほどの避難所などの名称に☆が付いていませんか?
しかも数が一つのところもあれば三つの場所もありますよね。
この☆は安全レベルと呼ばれるもので、和歌山県独自の指標になります。
県では津波や風水害で避難する施設にその場所がより安全か?という観点からこのような指標を付けています。
(1) 津波避難場所安全レベル
緊急避難場所レベル | ☆の数 | 説明 |
3 | ☆☆☆ | 浸水の危険性がない地域に、より標高が高くより離れた安全な場所を指定 |
2 | ☆☆ | 浸水予想近接地域に、緊急避難場所(レベル3)へ 避難する余裕が無いときの緊急避難場所として指定 |
1 | ☆ | 浸水の危険性がある地域に、時間的に緊急避難場所(レベル2、3)に 避難する余裕がない場合に対応するために緊急避難場所として指定 |
(2) 風水害避難場所安全レベル
レベル | 説明 |
避難場所 (☆☆☆) |
土砂災害や浸水が発生した場合でも十分に安全な避難場所 |
避難場所 (☆☆) |
土砂災害や浸水が発生した場合でも一定の安全を確保することが 可能である避難場所 |
避難場所 (☆) |
大規模災害等が想定される場合には事前に開設しないとするか、 開設した場合であっても、危険が迫った場合には閉鎖の可能性がある避難場所 |
避難場所 (☆)(注) |
大規模災害等が想定される場合には事前に開設しないとするか、 開設した場合であっても、危険が迫った場合には閉鎖の可能性がより高い避難場所 |
以上の安全レベルに関する情報は、和歌山県 総務部 危機管理局 防災企画課の避難場所・避難所についての一番下にある※和歌山県における避難場所の考え方から引用しました。
※和歌山県における避難場所の考え方(PDFファイル)
ハザード情報もチェックできます
ハザードボタンをタップすることで、その地域の津波による浸水想定などを地図に重ね合わせて見ることができます。確認できる情報は次の通りです。
- 国土交通省 国土数値情報
- 洪水浸水想定
- 土砂災害警戒区域
- 和歌山県情報
- 津波ー浸水想定(南海トラフ巨大地震)
- 津波ー浸水想定(東海・東南海・南海3連動地震)
- 土砂災害
(2)防災情報の通知
下のアイコンバーの一番左にある防災情報を見ていきましょう。
こちらでは避難情報などの防災関連情報、気象警報や注意報などの気象関連情報を確認することができます。
これらの情報は位置情報と連動しているために、別の市などに移動すると自動的にその地域の防災情報などが表示されるようになっています。
- 防災関連
- 避難情報
- 避難所情報
- 国民保護情報
- イベント情報
- お知らせ
- 防災関連リンク(別のサイトに移動します)
- 警戒レベルの導入について
- 防災わかやま
- 災害に備えて(防災企画課ホームページ)
- MySOS(救急時のサポートアプリ)
- Safety Tips(外国人旅行者向けの防災アプリ)
- 気象関連
- 気象特別警報・警報・注意報
- 記録的短時間大雨
- 指定河川洪水警報
- 土砂災害警戒情報
- 震源・震度に関する情報
- 震度速報
- 津波警報・注意報・予報
- 南海トラフ地震に関する情報
- 竜巻注意情報
- 噴火警報・予報
(3)家族などが避難した場所の確認
避難カードを作ってみよう
次は避難カードを見てみましょう。1枚目の画像の上側にあるのが避難カードです。本人あるいは家族などの情報や避難先をここにまとめておくことができます。いざという時にそれぞれが別々に避難したとしても、集まる場所が同じならば再会できる可能性が高まると考えられます。
さてこの避難カードですが、県民一人ひとりが適切な避難行動を取ることができるように、との思いから和歌山県がその様式を作りぜひ活用してほしいと呼びかけています。
避難カードは上のリンクあるいはこちらからダウンロードできます。
アプリの避難カード機能は家族あるいは他のグループ作成にも対応していますので、同じアプリを使っている人たち同士の居場所を地図上で知ることが可能になります。
カメラでもQRコードでも読み取り可能
避難カードはアプリ内で作成することもできますが、外部から取り込むこともできます。
取り込みは紙媒体であればカメラ機能で、アプリを使っているなら避難カードをQRコード化してくれるのでそれを読み取ることで登録できます。ちなみに作成したカードは右上のボタンから画像として保存することもできますよ。
(4)避難トレーニング
4番目の機能である避難トレーニングです。
最寄りの避難所などの場所はわかるけれども災害が発生したとき、本当にそこにスムーズにたどり着けるかというと何とも言い難い部分があるかと思います。
ならば平時にその場所まで避難する練習をしてみようということで避難トレーニング機能が用意されています。
トレーニングは津波、風水害の両方用意されています。
いずれも避難先を選択すると避難トレーニングを開始するアイコンが出ますのでそれをタップして開始します。
トレーニングの結果は記録として残されます。
また南海トラフ巨大地震によって発生した津波が浸水深30cmに到達するシミュレーションと結果を重ね合わせることもできます。
もちろん地震直後に避難することが重要ですが、その発生から何分後に避難を開始するか、といった設定もできますので地図上であなたが行った避難トレーニングの結果を見直すことができます。もし途中で津波に追いつかれてしまうようなことがあればルートの再検討などが必要になってくるでしょう。
津波のシミュレーションはそれ単独で見ることも可能です。一番下の紫色のボタンがそれです。
地震発生から1時間30分後までどのように津波が広がっていくかを確認できます。
(5)防災リアルタイム情報も確認できます
最後に防災リアルタイム情報について見ていきましょう。
こちらの機能は2019年(令和元年)6月のアップデート(Ver1.0.8)で追加されたものになります。
メイン画面の≡からメニュー画面を開くと出てくるリンクのうち、上2つがそれです。
防災リアルタイム情報
- 河川水位情報
- 土砂災害危険度情報
- 医療機関診療情報
- 気象庁リンク
河川水位情報と土砂災害危険度情報はいずれも和歌山県河川/雨量防災情報というサイトに移動します。このサイトは名前の通り、県内の河川の水位や河川カメラ、土砂災害の危険度(土砂災害警戒判定メッシュ情報となっていますが、現在は土砂キキクルと同じ意味です)などをここで確認できます。
また医療機関診療情報は、県内の医療機関の情報を提供するわかやま医療情報ネットにリンクしています。防災情報については気象庁リンクもありますので、合わせて活用していきましょう。
まとめです
今回の防災アプリは和歌山県防災ナビを取り上げました。
和歌山県は南海トラフ地震・津波によって大きな被害が発生することが予想されています。このような背景もあり、県の防災に対する取り組みはより熱意を持って行われているように感じました。
和歌山県防災ナビは、そのような取り組みの一つとして非常に有用な方策だと思います。またパンフレットも多数発行されていますので、家の防災に活かしていきましょう!