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道の駅が災害時の重要拠点に「防災道の駅」とは

道の駅と防災 防災豆知識
道の駅と防災

こんにちは、管理人のアカツキです。
今回の防災お役立ち情報は「防災道の駅」です。

道の駅は、多くの方が一度は訪れたことがあるかと思います。
高速道路などにあるサービスエリアと同じく休憩が出来ますし、地元の名産品などを求めて
訪れるという方も多いのではないでしょうか。

そんな道の駅ですが、近年では災害時に道路利用者が避難する場所として、また救助・復興活動をする上での拠点としても考えられるようになってきました。

本記事では、防災という観点から見た道の駅を取り上げてみます。

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防災道の駅とは

防災機能の強化と整備が行われます

今年令和3年(2021年)6月11日、国土交通省より以下のプレスリリースが出されました。

全国の道の駅から39駅を選び、非常用発電機などの防災機能の強化などを国交省が重点的に支援します、という内容です。
つまり、道の駅は災害が発生した時に有効に使える場所であると国が考えている、ということなんですね。

災害が発生した時、避難所として、また救援活動を行う警察や自衛隊、医療関係者などが集まる拠点が必要になります。これを防災拠点と言います。

そして災害の規模が大きくなると、救援活動にあたる人たちは市町村の枠組みを超え、都道府県をまたいで全国から応援に駆けつけてくることになります。その場合に活動の拠点となる場所は、単に救援活動の人が集まる場所というだけでなく、救援物資などを集め、それを被災地に送るという中継の機能も兼ね備えることになります。

このような防災拠点は特に広域防災拠点と呼ばれます。

防災拠点は、地元自治体の地域防災計画によって定められています。
実は、全国で約500の道の駅が防災拠点に指定されています。
そして今回選ばれた駅は、すでに広域防災拠点に位置付けられている駅です。

それではどのような道の駅が防災道の駅に選ばれたのでしょうか。地域ブロックごとに見ていきましょう。最初は北海道です。あなたの最寄りの道の駅はあるでしょうか。

「防災道の駅」一覧

北海道ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
1 北海道 天塩町 てしお (1) (2)
2 北海道 ニセコ町 ニセコビュープラザ (1) (2)
3 北海道 猿払村 さるふつ公園 (1) (2)
4 北海道 厚岸町 厚岸グルメパーク (1) (2)

東北ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
5 青森県 七戸町 しちのへ
6 岩手県 遠野市 遠野風の丘 (1) (2)
7 秋田県 大仙市 協和 (1) (2)
8 山形県 飯豊町 いいで (1) (2)
9 福島県 猪苗代町 猪苗代 (1) (2)

関東・甲信ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
10 茨城県 大子町 奥久慈だいご (1) (2)
11 栃木県 壬生町 みぶ (1) (2)
12 群馬県 川湯村 川場田園プラザ (1) (2)
13 千葉県 八千代市 やちよ
14 長野県 塩尻市 小坂田公園
15 山梨県 富士川町 富士川 (1) (2)

北陸ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
16 新潟県 妙高市 あらい (1) (2)
17 石川県 輪島市 のと里山空港 (1) (2)

中部ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
18 岐阜県 大野町 パレットピアおおの
19 静岡県 富士宮市 朝霧高原 (1) (2)
20 愛知県 豊橋市 とよはし
21 三重県 志摩市 伊勢志摩 (1) (2)

近畿ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
22 福井県 大野市 越前おおの 荒島の郷 (1) (2)
23 滋賀県 甲良町 せせらぎの里こうら (1) (2)
24 兵庫県 朝来市 但馬のまほろば (1) (2)
25 奈良県 奈良市 (仮称)中町 ※オープン未定
26 和歌山県 すさみ町 すさみ (1) (2)

中国ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
27 岡山県 玉野市 みやま公園 (1) (2)
28 広島県 東広島市 西条のん太の酒蔵 ※令和4年度開業予定
29 山口県 周南市 ソレーネ周南 (1) (2)

四国ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
30 徳島県 板野町 いたの (1) (2)
31 香川県 綾川町 滝宮
32 愛媛県 久万高原町 天空の郷さんさん
33 高知県 四万十町 あぐり窪川

九州・沖縄ブロック

No. 都道府県 市町村 道の駅名
34 福岡県 うきは市 うきは (1) (2)
35 長崎県 佐世保市 させぼっくす99
36 熊本県 芦北町 たのうら
37 大分県 由布市 ゆふいん (1) (2)
38 宮崎県 都城市 都城 (1) (2)
39 鹿児島県 垂水市 たるみずはまびら(たるたるぱあく)

そもそも道の駅って?

さていきなり防災道の駅について述べてきましたが、駅を防災施設として考え、利用する取り組みはこれが初めてではありません。この経緯を知るには、まず道の駅とは何ぞや?というところから見ていきましょう。

鉄道駅があるなら道路駅もある?

道の駅ができるきっかけは、平成2年(1990年)1月に広島県で行われた中国地域まちづくり交流会主催のシンポジウムです。
この場で「鉄道の路線に駅があるように、道路にも駅があってもよいのではないか」という提案が行われたとのことです。

たしかにこれはなるほど、と思える提案ですよね。
鉄道駅には自ずと人が集まり、その周りも発展します。
鉄道を敷いて街を発展させる・・・ジャズの名曲を冠したそのようなゲームもありますよね。
ということは、道路駅もその地域の人だけでなく、他の地域からの集客も期待できそうです。

かくして道の駅構想は本格化し、山口県などで実際に道の駅(仮設)を造り、社会実験が行われました。
結果は好評であり、これを受けて国交省(当時は建設省でした)で検討が始まり、平成5年(1993年)4月に全国103か所の「道の駅」が登録されました。

今の道の駅はどのくらいある?

開始当初103駅だった道の駅は、令和3年(2021年)6月現在、1,193駅となっています。
制度ができて30年近くになりますが、1年に40駅ほどがオープンしている計算になります。
全国の道の駅はこちらから検索できます。

また、地域の活性化拠点として大きく貢献している道の駅は『全国モデル「道の駅」』や『重点「道の駅」』に認定され、国から重点的な支援が行われています。

道の駅には3つの機能があります

では道の駅にはどのようなものが備わっているのでしょうか。
国交省によれば、次のような3つの機能が設けられています。

  1. 休憩機能
    24時間無料で利用できる駐車場やトイレ、おむつ交換などのベビーコーナー
  2. 情報発信機能
    道路や地域に関する情報を提供
  3. 地域連携機能
    文化共用施設や観光レクリエーション(楽しみを目的とする旅行)
    などの地域振興施設

防災拠点としての道の駅

先ほど、道の駅の機能をご紹介しました。
特に24時間無料で利用できる駐車場やトイレ施設は、道路を利用する側にとっては大変ありがたいものですよね。

そしてそのような道の駅が元々持っている機能は、災害時においては一時避難場所や情報収集の拠点に向いている、とは思えないでしょうか。

つまり、防災という観点から道の駅を見る、ということです。
ここでは、実際に道の駅が災害時に活躍した事例を見ていきましょう。

新潟県中越地震【平成14年(2004年)10月23日発生】

新潟県を中心に最大震度7を記録した中越地震では、多くの被災者が道の駅に避難し、支援を受けたとの記録が残っています。
駅自体も被災し、停電や断水が起こった駅もありました。
その中にあっても、道路情報や災害情報の発信に努めた駅もあれば直接被災者を受け入れ、避難場所として会議室や駐車場が提供された例もあります。飲料水や生活用水の支給も道の駅で行われました。

被災エリアと道の駅の位置
被災エリアと道の駅の位置
出展 「道の駅」の防災拠点化、檜田幸伸、四国技報(国土交通省四国地方整備局)

第11巻22号(平成24年1月1日)、2ページ

特にクロス10十日町では、被災者への支援として仮設住宅が駐車場に建設されました。

東北地方太平洋沖地震【東日本大震災、平成23年(2011年)3月11日発生】

先の中越地震で道の駅が避難場所などの防災拠点として活用されたことは、大きな注目を集めました。
国土交通省においても、平成19年(2007年)から道の駅を順次防災拠点化する取り組みが始まりました。

道の駅の防災拠点化(国土交通省)
道の駅の防災拠点化(国土交通省)
出展 国土交通省 社会資本整備審議会道路分科会 第23回基本政策部会(平成19年3月30日)
資料5 観光振興の支援及び多様な機能を持った「道の駅」の新たな展開について2) 17ページ


地元の自治体も、道の駅を地域防災計画で避難場所などに指定するといった動きが起こってきました。
そして平成23年(2011年)、東日本大震災が発生。このとき、道の駅ではどのような災害対応が行われていたのでしょうか。

国の研究機関である土木研究所内の組織、寒地土木研究所の地域景観ユニットが、宮城県と岩手県の道の駅15駅について現地調査や担当者へのヒアリングを行っています。その中から、高田松原たろう駅の状況についてご紹介します。

道の駅「高田松原(タピック45、旧道の駅高田松原)」(岩手県陸前高田市)

高田松原駅は、津波による被害が大きかった地域です。その凄まじさはこの地に約350年前から植林されていた松林をなぎ倒すほどでした。

そして津波はこちらの駅にも押し寄せ、その最上階近くまでやって来たと言うことです。


高田松原駅は、上の記事中の動画でその形を見ると分かりますが、階段が設置されていて上まで登ることができるようになっています。この時点で防災拠点化はされていませんでしたが、三陸のこのエリアは過去の津波被害も多く、津波避難場所としてこのような設計が行われていました。実際にこちらに避難して助かった方もおられます。

中の施設は壊滅してしまいましたが、道の駅が避難場所として機能した事例と言えます。
現在はあの時の教訓を忘れないよう、震災遺構として岩手県が保存しています。

そして道の駅はすぐ近くに高田松原津波復興祈念公園の一部として整備が行われ、令和元年(2019年)9月22日に東日本大震災津波伝承館とともにリニューアルオープンを果たしました。

道の駅「たろう」(岩手県宮古市)

道の駅「たろう」は防災拠点化されていた道の駅です。
震災時は、たろう駅が高台に位置していたことから多くの住民が避難してきたといいます。

地元の農家の方や近くの道の駅からお米や産直品を送ってもらい、被災者の支援が行われました。
また、防災拠点として発電機や燃料、毛布、テレビなどが備えられており、これらも有効に活用されました。地元消防団員の仮眠場所として畳の休憩施設も使われていたということです。

道の駅のコンセプトに地域連携機能がありますが、地元の方から食料の支援を受けることはまさにこの地域連携に当たります。この事例においても道の駅が防災の拠点としてしっかり機能していたことが分かります。

道の駅「遠野風の丘」(岩手県遠野市)

もう一つ、遠野市にある道の駅「遠野風の丘」についても取り上げたいと思います。
震災後は、この遠野風の丘駅や近くにある遠野運動公園などが後方支援の拠点として使用されました。

遠野市は、自衛隊や警察はもちろん、医療チームやボランティアなどの一大活動拠点となったのです。
全国から送られた救援物資も遠野に集められ、ここを中継地点として被災地に配分されていきました。

遠野市(遠野駅)から50km圏内の範囲です
遠野市(遠野駅)から50km圏内の範囲です
出展 国土地理院「地理院地図

遠野市は比較的内陸に位置し、地質も災害に強い地域です。
そして半径50km圏内に宮古市、大船渡市、釜石市、陸前高田市があり、車で1時間程度の距離にあります。そのため、遠野市は災害が発生した時に沿岸の地域を支援する体制を整えていました。

震災前の平成20年(2008年)には、東北6県の自衛隊全部隊も参加した大規模な訓練「みちのくALERT(アラート)2008」を実施しています。震災発生から15分後に遠野市は遠野運動公園の開放を指示。この訓練の成果が活かされたのです。

この後方支援の取り組みは「遠野モデル」と呼ばれ、現在も視察が絶えないということです。
また、取り組みの記録を残すべく「遠野市後方支援活動検証記録誌」を発行。さらに「遠野後方支援資料館」が造られました。当初は仮設の運用でしたが今年3月に常設施設としてリニューアルオープンしています。

遠野風の丘駅は、今回の防災道の駅にも選定されており、広域防災拠点としての更なる充実が期待されています。

北海道オホーツク地方の暴風雪(平成25年(2013年)3月1日~3日発生)

最後に北海道の事例を取り上げたいと思います。
これは急速に発達した低気圧(968hPaまで発達)が暴風雪をもたらして、オホーツク地域の道路を寸断したものです。その結果、約500台もの車が立ち往生する事態になりました。

北見と網走を結ぶ国道39号線沿い、女満別空港に近い位置にある道の駅「メルヘンの丘めまんべつ」では、臨時の避難所として施設を開放しました。

駐車場に車が避難
駐車場に車が避難している様子
出展 谷村昌史「インバウンド、観光、コミュニティー、防災 多角化する地域の拠点
北の交差点(北海道道路管理技術センター)、Vol.34(2016)、 11ページ

約150台の車と約130名の避難者を収容し、暖房やトイレの提供や携帯電話の充電、ガソリンの無償提供を行って対応しました。

また、道路管理者である北海道開発局からの情報提供や除雪業者からの情報収集なども行われ、避難者の対応に道の駅が大いに役立ちました。

メルヘンの丘めまんべつでは、この時の教訓から発電機やジェットヒーターなどを備えた防災備蓄倉庫を設置したり、同年末12月には、雪害を想定した救助訓練が行われました。

この訓練は、暴風雪によりメルヘンの丘めまんべつ付近で車両がスタック、ドライバーから大空町と警察に救援の連絡が入ることから始まるシナリオが組まれました。同年の6月から準備が始まり、机上訓練などを経て地元自治体である大空町をはじめ、北海道開発局や警察、消防、自衛隊など48機関が参加しました。

雪害というケースにおいて、道の駅が活躍した事例と言えます。

雪害は冬特有の災害です。昨年令和2年(2020年)12月に新潟県と東京都を結ぶ関越道で発生した立ち往生が記憶に新しいところです。


今後は道の駅のみならず、サービスエリアなどもさらに防災拠点化が進んでいくと思われます。

まとめです

今回の防災お役立ち情報は「防災道の駅」を取り上げました。

平成5年(1993年)にスタートした道の駅は、昨年令和2年(2020年)から第3ステージと銘打ち「地方創生・観光を加速する拠点へ」と向けて官民合わせた取り組みが行われています。

「防災道の駅」もその活動の一つであり、この指定を受けていない各地の道の駅においても災害時に備えた準備が行われていくでしょう。また、電気自動車(EV)の充電器なども設置されてきており、利便性がますます向上しています。

道の駅は延べ約2億4千万人の年間利用者数と2,500億円の売り上げがあります(2015年)。ある調査結果では、茨城県内の道の駅について、仕入れの8割ほどを自分の市町村あるいは隣接する市町村から行っているとのこと。地元に密着した経済の拠点としてもこれから先さらに注目が集まりそうです。


「鉄道の駅があるなら道路の駅も」という提案から始まった道の駅。
ですが、もともと道の駅ははるか昔、律令時代に道路が開拓され、馬を乗り継いだりするための駅が設置されたのが始まりなのだそうです。江戸時代には宿駅があり、北海道には明治時代、駅逓(えきてい)というものがありました。そうして今再び道路の駅が全国に設置されています。

これからの地方の活性化と防災を、道の駅が大きく担う日が来るのも近いかも知れません。
道の駅は今や、従来の3機能に加えて4つ目の「防災拠点機能」が加わりつつあります。

ぜひ普段はドライブのお供に気軽に立ち寄れる場所として、そしてもしもの時にも道の駅があることを心に留めて防災レベルをアップしていきましょう!

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