こんにちは、管理人のアカツキです。今回の防災グッズは防寒グッズです。
2021年も残りが見えてきましたが、その日数が減るとともに寒さが増してくるようになりました。
そしてそのような中で考えてしまうのは、この寒い中で災害が起こったらどうなるのだろう?ということです。冬に電気が止まったら?ガスが止まったら?水が止まったら?
もし私たちがそのような状況に置かれたとき、どのようにして寒さをしのいでいけば良いのか、この記事ではそのための防寒グッズについて、主に身に着けるもの(カイロ)と外から暖めるもの(ストーブ)について取り上げてみます。
冬の災害はこわい
災害は季節を問わず起こり得ます。特にそれが冬に入ってから起こると心配な点が夏よりも多くなります。思い起こせば、今年2021年(令和3年)2月13日には福島県沖を震源とし、福島県や宮城県で最大震度6強を記録する大きな地震がありましたね。
ではどのような点が心配になるのか、というと次のようなことが考えられます。
- 冬は暖房器具が必要なため、電気が止まると使えなくなってしまう
- 暖房に火を使っている家も多く、火災を起こすリスクがある
- 雪が降る地域では積雪で避難経路などがふさがれ避難や救急車両の通行に支障が出るおそれ
夏と違って冬は寒いですから、第一に防寒対策をしなければなりません。そうしなければ寒さで体力が失われていくからです。さらに電気、水道、ガスなどのインフラが止まることも十分考えられますのでより一層の対策を考える必要があります。
そしてそのような時の寒さ対策、という観点から考えると暖の取り方は何かを身に着ける、あるいは何かを使って外から暖める(空間を暖める)、暖房が稼働している避難所などの施設へ避難することなどが言えると思います。
(身に着ける対策)
- 防寒着、長靴
- 毛布
- 寝袋
- 保温シート(アルミシート、エマージェンシーシートとも言われます)
- 段ボールや新聞紙
- カイロ
- 湯たんぽ(カセットコンロで水を暖める)
(外から暖める対策)
- ストーブ
- 自動車(+雪がある場合、マフラー周りの除雪用などに折りたたみシャベル)
(ストーブによる燃焼では一酸化炭素(CO)が発生します。これは車の排気ガスにも含まれています。COガスは無臭であり、有毒です。暖房使用時には適切な換気が大事になります。特に車内で暖房を使う場合は雪の状況にも注意を払いましょう。JAFのサイトに大変わかりやすい実験動画があります)
もちろんまだまだしておくべき備えはあると思いますが、特に冬期間には以上の備えをしておくことで防災の効果を高めてくれるはずです。
そこでこの記事では、これらの防寒対策について身に着けるものからカイロを、そして外から暖めるという点からストーブを必要な防災グッズとして取り上げてみたいと思います。
身に着けて暖める!色んなカイロ
まずは身に着けて暖を取るカイロについて見てみましょう。
一般的には使い捨てタイプが思い浮かびますが、こちらではまた別のタイプのもの、燃料(オイル)を使うオイル式とリチウムイオン電池を利用する充電式の2種類を取り上げたいと思います。
オイル式カイロ
(1) ハクキンカイロ「ハクキンカイロ」
約100年の重み
まずは商品名がそのまま会社名になっているハクキンカイロ社のハクキンカイロです。
こちらをご存じの方も多いかも知れません。
というのも、ハクキンカイロ社は創業が1923年(大正12年)とおよそ100年の歴史を持っており、時代を通してカイロのデザインは大きく変わっていないからです。世代を通し、冬の定番として長く愛されているカイロです。
ちなみに私もエンジニア時代、冬の通勤時に毎日使わせていただきました。
触媒(しょくばい)による化学反応を利用
ハクキンカイロはベンジンという燃料を利用します。カイロには図のように脱脂綿があり、ここに専用のカップでベンジンを染み込ませます。
次に火口という部分にライターなどで熱を与えます(燃やすわけではありません!)。すると化学反応が始まり、ベンジンが分解されていきます。この時に熱が発生してカイロとして使えるということなんですね。ちなみにベンジンが分解された後は水と二酸化炭素(炭酸ガス)になります。
火口にはプラチナ触媒(しょくばい)という物質が使われています。触媒はなかなかなじみが無い言葉かも知れません。一言で言うと自分自身は反応の前後で変化せず、化学反応を起こしやすくする物質と言えます。
縁の下の力持ち的な感じですが、実は私たちの生活のあらゆるところで活躍しているすごいものなんですよ。身近なところですと、車の排ガスを浄化するのに使われています。
そしてこの反応で得られた熱は、ほぼ1日続きます(専用カップで2杯分のベンジンを入れたとき)。
しかもかなり熱いです。そのまま持つとやけどするくらいの熱さがあります。
ですので素手で持つのではなく、専用のフリースケースに入れたりして持ち運ぶスタイルになります。災害時の備えのみならず、寒い季節は日常でも大活躍するアイテムになると思います。
ちなみに燃料のベンジンは専用のものをお使いください。使い方にもよりますが、私の場合は1本でワンシーズン十分に持ちました。また注油後はしっかりとカイロ周りをふき取ってから火口に点火するようにしてください。
ベンジンはガソリンと同じ仲間です。その点だけはしっかりと意識して使うようにしましょう。
(2)ZIPPO「ハンディウォーマー」
ZIPPOブランドのカイロ
フタを開けて円盤(ホイール)をチャッと回して点火・・・。
ZIPPO(ジッポー)はその開閉時のカチッという音の響きの良さや使いやすさ、デザインから人気を博しているオイルライターです。
そんなZIPPOを製造しているZIPPO社もオイル式のカイロを販売しています。
それがハンディウォーマーです。
こちらのカイロもプラチナ触媒を使用しており、先のハクキンカイロと同様にオイルを染み込ませてから火口に点火して使用するようになっています。1回の注油で最大12時間発熱し続けます。
燃料には専用オイルが使えますので、ZIPPOを普段から愛用されている方には使いやすい製品だと思います。
充電式カイロ
(1) エレス「イーカイロ カレ(e-Kairo Carre)」
充電して使えるカイロ
近年は新しいカイロとして充電式のタイプも登場してきています。このタイプはスイッチを入れることでカイロに内蔵しているヒーターが作動して熱を出すようになっています。
まず取り上げたのはデザイン雑貨の販売を行うエレス株式会社からこちらのイーカイロ カレです。
カレは画像のように丸みを帯びた四角形が特徴のデザインになっており、より握りやすく、より指先を温めてくれるようになっています。
さらにカレにはもう一つ、LEDライトとしての機能も備わっています。
非常時はもちろん、日常使いでも役立つ場面が多数あると思います。
カイロはUSBケーブルをつないで充電します。約300回の充電が可能とのこと。
全部で5つの柄があり、デザイン性にも力を入れているカイロだと思います。
(2) ライフオンプロダクツ株式会社「MTL-E029」
大容量のモバイルバッテリー機能付き
暮らしにイロドリとプラスの価値を創造できうる製品・サービスの提供を事業内容とするライフオンプロダクツ株式会社のブランドmottole(モットル)から充電式カイロ MTL-E029を取り上げました。
MTL-E029はだ円型でふんわりとした厚みがあり、握りやすい形になっています。また抗菌仕様の樹脂が使用されていて安全性にも力を入れています。
スイッチはカチカチッとダブルクリックをする感触でONになり、5秒ほどでその暖かさを感じらるようになっています。この辺りは通常のカイロにない特色ですね。
またこちらのカイロにはモバイルバッテリー機能が付いています。その容量は10000mAhで、これは最新のスマートフォンでも2回ほど充電可能な容量です。
カイロの温度は弱モード(45℃)と強モード(55℃)があり、連続使用時間はそれぞれ約8時間と約4時間になっています(気温の低い場所では2時間程度になる場合もあるとのことです)。
モバイルバッテリーの機能も兼ね備えた充電式カイロは、非常時にも大変役立ってくれるのではないでしょうか。
外から暖める「ストーブ」
次に外から暖めるストーブです。災害時の利用を想定していますので、コンセントから電源を取るタイプのストーブではなく、電源が不要なタイプとしてガスストーブと石油ストーブを選んでみました。
ガスストーブ
岩谷産業株式会社 「カセットガスストーブ”デカ暖”」
カセットガスで暖房
カセットコンロなどのガス関連事業を行う岩谷産業株式会社から、こちらのガスストーブを取り上げました。
このガスストーブの特徴は何といっても電源を必要とせず、ガスで暖めるということです。
しかもそのために使用するガスは、カセットコンロなどに使うものと全く同じガス缶です。
灯油も使いませんので、簡単に準備できて暖を取ることができます。
以前防災グッズとしてのカセットコンロを取り上げましたが、ガス缶さえあればどちらも使えるので利便性はかなり高いと思います。
ガスで暖めるからといってそんなに温度は上がらないのでは?と思われるかも知れませんが、燃焼筒の構造を工夫することで、部屋の平均温度が15分で5.8℃も上がり、小型石油ストーブと同じくらいの性能が得られたとのことです。
安全性についても配慮がされています。ストーブが倒れたりしたときなど、様々な状況に対応して自動的に消火する安全装置が全部で4つ用意されています。
燃料がガス缶ですので連続燃焼時間は約2時間30分と短くなってしまいますが、缶のストックをしておけば、いざという時に大いに役立ってくれるストーブだと思います。
石油ストーブ
(1) 株式会社トヨトミ「レインボーストーブ RB-251」
七色の炎
暖房器具を製造販売する株式会社トヨトミからこちらのストーブを取り上げてみました。
通常の石油ストーブですと電源コードが必要になりますが、RB-251は電源コードがいらず、乾電池(単2形、4本)で作動するようになっています。そのため、停電時には大いに活躍してくれることが期待されます。
またレインボーと銘打っているように、円筒部分はカラフルな光が出るような仕組みになっており、見た目も楽しめます。
ちなみに同じレインボーストーブのRB-G250は、点火時にレバーを回すようになっていて乾電池も不要です。いずれのストーブも一般社団法人防災安全協会が推奨する防災製品等推奨品に認定されており、災害時に暖を取るストーブとして一定の評価も受けております。
(2) 株式会社コロナ「ポータブル石油ストーブ SX-E2921Y」
遠赤ブレードでさらに温か
同じく暖房機器を製造販売する株式会社コロナの石油ストーブです。
電源コードは要らず、単2形の乾電池4本があれば火が付きます。
そしてSX-E2921Yには遠赤ブレードと呼ばれる燃焼リングが付いています。
別の機種と比べると分かりやすいと思いますが、この燃焼筒と呼ばれる部分の上にある白っぽいリング部分です。このリングがあることで熱を伝える遠赤外線の放射量が30%アップしています。そのため、より体を暖めてくれることが期待されます。
また石油ストーブは灯油を燃料として燃やします。そうするとやはりある程度の臭いが発生します。SX-E2921Yは消臭対策もバッチリです。
- 触媒燃焼
- ニオイカット消火
- クリーン燃焼
触媒燃焼では、灯油を燃やした時に出る臭い成分を触媒上で再度燃やすことで消臭効果を高めています。先ほどハクキンカイロで出てきた触媒がここでも活躍しているんですね。
また臭いの元になる未燃焼ガスを燃やしきるニオイカット消火、灯油と空気を効率よく燃焼させるクリーン燃焼を合わせたトリプル消臭によって気になる臭いを約1/3にまでカットしています。
こちらのストーブもトヨトミと同じく一般社団法人防災安全協会が推奨する防災製品等推奨品に認定されており、災害時において必ず役に立ってくれる製品になると言えるでしょう。
一酸化炭素(CO)には気を付けて
冒頭にも少し触れましたが、ストーブは燃料を燃やして発生した熱で空間を暖めます。この時、燃料はその燃え方によって一酸化炭素(CO)が発生します。これを不完全燃焼と呼びます。ちなみに不完全がありますので完全燃焼もあり、この場合は水と二酸化炭素(CO2)が発生します。
問題は一酸化炭素でして、このガスは無臭かつ有毒です。濃度が低いと軽い頭痛程度ですが、高濃度では意識障害を起こし、死ぬこともあります。
残念ながらCO中毒による事故は毎年発生しています。不完全燃焼は程度の差はあれ、必ず起きますので特にストーブを使用される際は換気を必ず行いましょう。
もし心配であれば、一酸化炭素の量を計測して危険な濃度になるとアラームを出してくれる一酸化炭素(CO)チェッカーなども求められると安心でしょう。
たとえばこちらのような製品です。ガス警報器の専門メーカーである新コスモス電機株式会社のCOチェッカーは火災警報器も兼ねていて、危険をいち早く察知して知らせてくれます。
まとめです
今回の防災グッズは防寒グッズ、取り分け身に着けて暖めるカイロと外から暖めるストーブについて取り上げました。
ところでカイロをカタカナで表記していますが、元々どのような字を書くのかご存じでしょうか。漢字では「懐炉」と書きます。炉は火を燃やして暖を取ったりする所を指す漢字ですね。ですのでカイロ=懐炉は懐、つまり服と胸の間で暖を取る場所(アイテム)ということになるでしょうか。
もしもの時に防寒アイテムを備えて懐を暖かく、そして心を温かくしていきましょう。