2022/8/11 能登地方の群発地震ー今わかっていることー を投稿しました

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防災を考えるための一冊「富士山噴火と南海トラフ」

防災お役立ち情報

こんにちは、管理人のアカツキです。
昨年サイトを開設してから自分なりにいろんな防災情報を発信してきました。

その中で防災対策をより進めるには、自身が災害についてより知っていく必要があるのではないかと考え始めました。災害の仕組みが分かることで、取るべき対策を考えることができるだろうと。

「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と言いますよね。

たとえばそれが地震ならば

  • どのような仕組みで大地が揺れるのか?
  • その揺れはどのような形で伝わっていくのか?
  • 揺れの測定や評価はどのように行っているのか?
  • その結果からどのような地震対策をすれば良いか?

のような感じで現象を理解することができるでしょう。

もちろん私たちはあらゆる情報源からある程度、そのような情報を知っています。
しかしさらに一歩踏み込み、より自分から積極的に調べてみたいと思うようになりました。

大きな視点で見れば、災害を知ることは、地球で起きる自然現象を理解することになるのだと思います。ですがまずは身近な自然現象について知っていきたい、そう感じて最近関連する科学書などを読み始めました。

そして読んだからにはその情報を共有したいと考え、記事にすることにしました。
前置きが長くなりましたが、今回はこちらの書籍を取り上げてみたいと思います。

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講談社「富士山噴火と南海トラフ」

書籍情報

  • 書籍名 富士山噴火と南海トラフ 海が揺さぶる陸のマグマ
  • 著者 鎌田 浩穀(かまた・ひろき)
  • 定価 1,100円(税込み)
  • 出版社 講談社
  • シリーズ ブルーバックス
  • ISBNコード 978-4-06-516043-5
  • 発売日 2019年(令和元年)5月19日

講談社が発行している自然科学系の新書シリーズ「ブルーバックス」の一冊です。
著者は京都大学大学院教授の鎌田浩穀先生です。科学啓発に熱心な「科学の伝道師」として活躍されておられる先生です。

この本との出会いは、とある駅前にあった大型書店でのことでして、ふっと目の前にそのタイトルが入ってきて思わず衝動買いをしてしまったという経緯があります。いきなり「富士山噴火と南海トラフ」というワードが入ってくると、なんだ?と飛びついてしまいますよね。この時点で出版社側の戦略にしてやられたのかも知れません。

富士山が噴火すると何が起こるのか?を解説

それでは本の概観を見ていきましょう。構成は以下のようになっています。

【構成】
第1部 富士山噴火で起こること
 第1章 火山灰 都市を麻痺させるガラスのかけら
 第2章 溶岩流 断ち切られる日本の大動脈
 第3章 噴石と火山弾 登山者を突然襲う重爆撃
 第4章 火砕流と火砕サージ 山麓を焼き尽くす高速の熱雲
 第5章 泥流 数十年間も続く氾濫と破壊 

第2部 南海トラフと富士山噴火
 第6章 地理と歴史からみた富士山噴火
 第7章 「3・11」は日本列島をどう変えたか
 第8章 南海トラフ巨大地震との連動はあるか
 第9章 山体崩壊のおそるべきリスク
 第10章 富士山の噴火予知はどこまで可能か
 第11章 活火山の大いなる「恵み」

本書は、大きく2部から構成されています。
第1部は富士山が噴火したときに起こることについて述べられています。

噴火が起こると、火山灰や溶岩など火山噴出物が発生しますが、本書ではそれぞれの噴出物についてこと細かに解説されています。

日本は、地震大国とも呼ばれますから多くの地震、火山に対する先端的な知見があります。
ですので私たち国民も少なからずこの方面への知識などは持っていると思います。

本書はそれらを補完するていねいな解説がなされていると感じました。
火山灰について言えば、それがどのように生成するのか、成分は何であるのかという基本的な
ところをしっかり押さえつつも、人体や交通機関にどのような影響を与えるのかといったところまで具体的に描写がなされています。

火山灰をただの灰だと思っていたならば、その振る舞いに驚かれるかも知れません。

また、それらがどのようにして噴火で放出されるのか、そしてそもそも噴火現象とは何か?といういわゆる地学的な解説も多く盛り込まれていることが分かります。

一連の解説が、日本あるいは世界の火山の事例なども交えつつ分かりやすく述べられているのが本書のポイントだと思います。

そして、実際にそれらが富士山噴火でどのように被害をもたらすと考えられるのかをハザードマップを使いながら明快に記されています。

余談ですが、富士山のハザードマップが2004年(平成16年)まで無かったことを本書で知りました。
この4年前の2000年(平成12年)に富士山で低周波地震が発生しています。この地震は噴火の前兆になると考えられ、急きょ作られたのだそうです。

ちなみにハザードマップは新たに得られた知見をもとに改定が行われ、最新版は令和3年3月に発表されています。得られた知見としては、新たに火口が発見されたりしたことなどがあります。
またより細かい地形の影響も含んで計算を行った改定になっています。

そのため、本書に掲載されているハザードマップは最新版ではないことに注意が必要です。
実際に見比べてみると、かなり範囲が変わっていますよ。
しかし、それがどのような経緯で作られているかを知り、最新版と比べることは意味があることだと思います。

南海トラフと富士山噴火は連動する?

第1部は富士山の噴火で起きると思われる個々の現象について解説がされてきました。
第2部では、富士山の現在の状況の解説と近い将来に必ず起きる災害について予測されています。

そしてその前提として火山噴火と地震が密接に連動していることを挙げられています。
実際に3.11以降、20の活火山で地下地震が起き始めていることが書かれています。

つまり、巨大地震によって火山のマグマ溜まりが刺激され、噴火が誘発される可能性があるということです。このことを、世界の事例や富士山の成り立ちやプレート理論、そして過去の記録などを用いて解説がなされています。

歴史を見ると、1703年に元禄関東地震が発生しています。
さらにその4年後の1707年、宝永地震が発生。富士山が噴火したのはその49日後のことでした。
これが富士山の最新噴火である宝永噴火です。
そしてこの宝永地震が、南海トラフで発生した巨大地震だったんです。
室町時代にも同様な事例がありました。

したがって、南海トラフ地震と富士山噴火が連動して起こる可能性もあり得るということです。
筆者は2030年代に南海トラフ地震が起こると警鐘を鳴らしています。
この地震でもたらされる被害予測については、すでに様々なメディアで報道されています。
私たちにできることは、この平時に先のことを考え、防災対策を進めていくことだと思います。

富士山の美しい形が崩れる?山体崩壊とは

このように、富士山は自身の噴火あるいは他の巨大地震と連動した噴火による火山災害が懸念されています。しかし、筆者はもう一つ考えられる恐ろしい災害を示しています。それが山体崩壊による岩なだれです。

山体崩壊とは、文字通り山が崩れてしまう現象であり、これによって崩れた岩石などの混合物が斜面をすべり落ちることを岩なだれ、あるいは岩屑(がんせつ)なだれとも言います。

そしてそれは、山の高いほど、斜面が急であるほどすさまじい威力になることが想像できます。
実際に富士山では約2,900年前に大規模な山崩れが発生し、静岡県の御殿場市方面に大量の土砂が流入したことが分かっています。山手線の内側くらいのエリアを厚さ10mを超す土砂が埋め尽くしたということですが、いかにその被害が大きいかがイメージできます。

問題は、山体崩壊はマグマ活動による噴火だけで起こるのではなく、地震によっても起こり得るということです。
ですのでいつ、どこで起こるといった予測が困難であり、岩なだれによるハザードマップは作成されていないのが現状です。

富士山と言えば、やはりあのスラっとしたスマートな形を思い浮かべます。
しかし、過去に何度も山体崩壊を起こしていたことを本書で知りました。
富士山は美しい山ですが、そこには多くの災害リスクがあるのだということをしっかりと認識することが大事なのだと思います。

噴火の予知は可能か?

富士山の災害リスクは分かったが、ではその噴火災害を予知することはできるのか?といった疑問があると思います。

終盤の第10章ではこのことについて書かれており、様々な観測技術があること、そして富士山は日々あらゆる観測が行われていることが示されています。そのため、噴火の兆候を数週間から一か月前に必ず発見できる体制が整っていると述べられています。

その成果に期待したいですね。

まとめです

今回は「富士山噴火と南海トラフ」について取り上げ、ご紹介をしてみました。
私が住んでいる所は近くに活火山があり、ハザードマップによるとかなりの影響があるエリアに入っています。

そのような意味では、この本に書かれていることは決して他人事とは思えず、大変勉強になったと思います。火山についての防災はどのようにしたら良いか、考えるきっかけになりました。

しかし、本の終章にもありますが、火山は大きな災害をもたらす一方で大きな恵みをもたらしてくれます。たとえば雪解け水が地下を通ってろ過され、ミネラル分が加わることで美味しい天然水が出来上がりますよね。

富士山と名前が付いたミネラルウォーターは枚挙に暇がありません。
またマグマによって温められ地上に湧き出た水は温泉となり、日本中に温泉スポットがあります。

筆者は「長尺の目」でものごとを捉える大事さを説いています。地震、火山活動は私たちの1日や1年という時間スケールで見るものではなく、100年や1000年といったスケールで行われます。このような尺度の見方を取り入れることが、これからの私たちに必要なことなのかも知れません。

災害が多発し、その規模が大きくなっている中において、本書は非常に目を奪われるタイトルだと思います。実際に今後起こるかも知れないリスクについて詳しく述べられています。

しかし、それだけではなく火山や地震の原理などが平易に解説されており、そのような意味では地学の入門書、あるいは学びなおしの書とも言えるのではないでしょうか。

今、改めて自然に目を向けてみるのはいかがでしょうか。興味深く読ませていただきました。

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