こんにちは、管理人のアカツキです。
各都道府県の防災情報リンクをお伝えしております。
前回まで、北海道・東北地方、そして北陸地方を取り上げました。
今回は、一気に南に進み九州・沖縄地方を見てみます。
全部で8県ありますが、今回はその1として「福岡、佐賀、長崎」の3県についてご紹介します。
九州・沖縄地方の防災リンク一覧
コード | 都道府県 | 公式Webサイト | 防災Webサイト | 公式ツイッター | 防災ツイッター |
40 | 福岡県 | 福岡県庁ホームページ | 福岡県防災ホームページ | 福岡県庁 | 公式 |
41 | 佐賀県 | 佐賀県 | 防災・減災さが | 佐賀県広報広聴課 | 公式 |
42 | 長崎県 | 長崎県庁ホームページ | 長崎県総合防災ポータル | 長崎県総合公式ツイッター | 長崎県危機管理課 |
(注1 コードとは、都道府県に付けられている通し番号です)
(注2 防災ツイッターの「公式」は、防災情報の発信を公式ツイッターが担当しているという意味です)
表を見ると、どの県も防災Webサイトを持っていることがわかります。
ツイッターによる展開もしており、長崎県は防災専用のツイッターもありますね。
さっそく個別に見ていきましょう。
なお、各県の防災コンテンツに5つ星による評価を入れてあります。
これは個人的な観点から、防災情報の総合的な発信力を5段階で示したものです。
あくまでも参考としてとらえてもらえればと思います。
福岡県の防災リンク
- web・・・あり
- ツイッター・・・なし
- コンパクトにまとまったトップページ
- 総合防災情報で多くの情報を入手
- 福岡県防災ハンドブック
- 外国人向けの防災ブック
- 被災者支援情報のリンクは?
- 防災メール・まもるくんは大丈夫?
- ハザードマップのリンクがほしい
コンパクトなトップページがスマート
まずは福岡県です。
サイトを一目見て、とてもコンパクトであり、よくまとまっていると感じました。
トップ画面に大きな地図はなく、テキストベースのメニュー画面になっています。
テキストが多いと画面がごちゃごちゃしがちですが、極力文字数を抑えて簡潔な画面にしていますね。
特に注意報や災害の緊急情報の案内が見やすいです。
目を引く色である赤色を上手く利用していると思います。
必要な情報が左側の「気象情報」や「ライフライン」「交通情報」などからすぐにアクセスできます。
また、黄色い枠で囲まれた避難所等8つのボックスがありますが、ここをクリックすることで関連する情報が地図あるいは画像とともに表示されます。
そして地図上の点にカーソルを合わせることで、よりくわしい情報も表示されます。
さらにくわしい情報は「総合防災情報」で
トップページ左側の「気象情報」に「福岡県総合防災情報」があります。
レーダ雨量や水門情報、道路情報などさらにくわしい情報を得ることができます。
情報がやや専門的になると思いますが、ぜひ有効に使ってください。
こちらは、県や国土交通省、福岡市や北九州市が観測している雨量などの情報が提供されています。
あくまでも速報値(参考値)ということで、警報などの発令を意味するものではない、というところに注意してください。
防災ハンドブックがあります
福岡県では、「福岡県防災ハンドブック」を作成しています。
発行は平成30年(2018年)です。
また、今年令和2年2月に改訂版が作成されています。
こちらには、平成30年7月豪雨などの災害から得られた教訓などが追加されています。
ハンドブックの閲覧は「ブラウザ」「PDF」「電子書籍」の3つの方法で可能です。
ハンドブックには「基礎対策編」や「避難生活編」など各場面におけるノウハウがまとめられています。
「教訓編」が最後にあり、さまざまな災害の概要や被災者の体験談などが掲載されています。
この部分だけでも一読に値すると思います。
特筆すべきは「事業所防災編」が設けられていることです。
この章では「事業継続計画(またはBCP(Business Continuity Plan)とも)」が取り上げられています。
備えあれば憂いなし、と言いますが近年はBCPを策定する企業も増えてきているようです。
計画を作るためには、会社のリスクを調べる作業があるので、会社の強みや弱みも見えてくることでしょう。また、BCPがあることでその企業への信頼度も増すことでしょう。
余談ですが、緊急時対応計画(コンティンジェンシープラン:Contingency Plan)というものもあります。
余談です。その違いを調べてみるのも面白いと思います。
外国人向けの防災ハンドブックもある
サイトの一番下に“For foreigner”という外国人向けのリンクがあります。
ここで「英語」「中国語」「韓国語」「タガログ語」「ベトナム語」「ネパール語」
の各言語で書かれた防災ブックが提供されています。
外国人労働者やインバウンド政策によって訪日外国人が増加しています。
「東京都防災アプリ」の記事でも少し取り上げましたが、各自治体も外国人向けの防災コンテンツを強化していることがうかがえます。
サイトのメンテナンスをしっかりと
福岡県の防災コンテンツは充実していると思いますが、いくつか残念な点もあるように見えます。
まず一つ目は「被災者支援情報」です。
こちらをクリックするとわかりますが、リンク先が消えています。
2020年3月15日に福岡県庁のサイトが大幅にリニューアルされているようですが、その影響が残っているのでしょうか。
そして二つ目は「防災メール・まもるくん」です。
まもるくんは、さきほどの「被災者支援情報」の一つ下にあります。
これは登録したメールアドレスに、災害時の情報などを配信してくれるサービスです。
とても愛らしい防災キャラクター「まもるくん」が迎えてくれます。
このメール登録について一点、改善してほしいところがあります。
スマホやPCから登録が可能ですが、登録画面での通信が保護されていません。
通信を保護する約束ごととして「TLS」というものがあります。
これにはいくつかバージョンがありますが、1.0~1.1はセキュリティ上に問題があります。
最新は1.3ですが、最も普及しているのは1.2です。
私のPCブラウザ環境はGoogle Chrome 85(記事執筆時点で最新)ですが、TLSが古い(1.0~1.1)との警告が出ました。
セキュリティ設定について、見直しをお願いしたいところです。
ハザードマップのリンクがほしい
もう一つ残念な点は、ハザードマップのリンクが無いことです。
他の情報は十分提供されているだけに惜しいところです。
ハザードマップの作成者は市町村の長ですので、それぞれが住む市町村のサイトで入手することはできます。
しかし、「福岡県防災」は県の防災コンテンツのポータルサイトです。
すべての情報にアクセスできるようにすることが、サイトに求められるのではないでしょうか。
情報を集約するのは大変なことだとは思いますが、可能であればそれを「福岡県総合防災情報」で見られるようにするなど、さらなる改善を求めたいと思います。
以上、コンテンツ自体はよくまとまっていると感じましたが、少し改善してほしい所が目立ったため、星を3つとさせていただきました。
佐賀県の防災リンク
- web・・・あり
- ツイッター・・・なし
- 要点をしぼったトップページ
- 災害時の情報公開
- 小学生向け防災啓発冊子
- すい坊くんの周知を
- ハザードマップはどこに?
- 地図との連動
要点をしぼったトップページ
佐賀県の防災サイト「防災・減災さが」です。
こちらも福岡県と同様、テキストベースのトップページになっています。
ジャンルごとに情報をまとめ、提供しています。
最もアクセスするであろう「防災関連情報」は新着情報の下に全ての内容が表示されています。
災害時の情報公開は◎
令和2年9月の初旬は、台風9号と10号が相次いで九州地方にやってきました。
佐賀県においても対策本部が設置されており、多くの会議が行われております。
こうした情報は「災害対策本部等情報」で詳細が発表されています。
この中で特に良いと思ったのは、その情報公開のあり方です。
例として挙げたのは、台風10号の接近に伴って開催された第11回の災害対策本部会議です。
まず1点目ですが、会議の模様をYoutubeで公開されているんですね。
特に編集されておらず、会議の全編がノーカットで配信されています。
そして2点目ですが、会議内容がしっかりと書き起こしされている点です。
動画を見ながら読んでみましたが、発言がほぼ忠実に再現されています。
いわゆる議事録と呼ばれる類の書類になりますが、私もエンジニア時代は会議の議事録をよく作成していたことを思い出します。
組織や人によってその様式は違いますが、言えるのは、作成にはかなりのエネルギーを要するということです。作成者の方にあっては、本当にお疲れさまでした。
この会議は9/7の9:00から行われましたが、知事以下関係者の方々が誠意を持って災害対応にあたっておられた、その様子を垣間見ることができました。
ちなみに、この日の会議は未明から3時間おきに開かれております。
ここで知事は
・避難所には2万人を超える県民が避難した
・令和元年佐賀豪雨の時は約4,100人であった
・その時に比べ、5倍の方が避難行動を取った
・県民の自助的な意識が積極的な行動につながったのではないか
という見解を述べておられました。
こういったトップの声を確認できるコンテンツとして、Youtubeは大変有用であると思います。
願わくば、その再生数がさらに伸びてほしいところです。
佐賀の災害歴史遺産を知ろう
佐賀県では、小学生向けの防災啓発冊子「伝えよう 佐賀の災害歴史遺産」を発行しています。
県内には、過去の災害対策などを現代に伝える「災害歴史遺産」がいろいろな形で残っています。
この災害歴史遺産を通して地域の防災力向上に努め、遺産を守っていく意識を高めることが目的です。
冊子には、10件の災害歴史遺産と、過去の災害が紹介されています。
先日9/15に、昨年発生した「令和元年佐賀豪雨」の記事も加えた2020年度版が発行されています。
小学生向けと銘打たれていますが、世代を問わず幅広く知られるべき内容だと思います。
もっと活用してほしい!佐賀県河川情報「すい坊くん」
「防災関連情報」内の「観測情報」に「すい坊くん」という項目があります。
PC版、スマホ版、ガラケー版があります。
こちらで県内の雨量情報やダム水位の情報などが入手できるようになっています。
この画面ではすべてテキスト情報になっています。
「地図情報を」クリックすると地図上で情報を確認できますので、直感的にもわかりやすくなっています。
ただこの「すい坊くん」はトップページには無く、少しリンクをたどる必要があります。
トップページに配置しても良いと思います。
避難所、ハザードマップと地図連動を
「日々の備え」から避難所情報とハザードマップ情報にアクセスできます。
しかし、体制の整備が不十分だと思います。
まず避難所情報ですが、県内各市町の避難所情報サイトへのリンクが掲載されています。
リンクがあることは良いのですが、これを県がまとめて地図上で表示できないものでしょうか。
使い勝手から見ると、自分が避難する場所を見つけるのに何回もリンクをたどっていくということになります。
これは手間がかかりすぎるように思えます。
たとえば、地図が表示されていて、自分の住んでいる地域を入力したり、リストからクリックする
この操作だけで避難所が絞り込める、そのようにはできないでしょうか。
次にハザードマップ情報ですが、これは国土交通省のハザードマップポータルサイトへのリンクが示されているだけです。
確かにここで確認することはできますが、これも避難所と同様に地図上で重ねて表示できたりする、そのように一括して情報が提供されるような仕組みは作れないものでしょうか。
佐賀県の防災サイトは、情報公開に力を入れている感じは伝わりました。
一方で、「防災啓発冊子」や「すい坊くん」など良いコンテンツがあるのに、広報が不足しているように思います。
また、避難所やハザードマップなど、重要な情報をより確実に伝えられるようにして欲しいと感じました。以上を踏まえて星を3としました。
長崎県の防災リンク
- web・・・あり
- ツイッター・・・あり
- シンプルでムダのないトップページ
- 防災便利電話帳
- 地図で見る防災情報
- 防災キッズルームの充実を
必要な情報がまとまったポータルサイト
長崎県も「長崎県総合防災ポータル」という防災サイトを展開しています。
こちらもテキストが主体ですが、しっかり項目が分けられていてわかりやすいです。
交通情報やライフラインなどについても、関係各所へのリンクがトップページにあり、ポータルサイトとしての機能を果たしていると言えます。
全体的にスマートにコンテンツが配置されていてムダが無いですよね。
よくまとまった防災便利電話帳
電話による問い合わせも想定して「防災便利電話帳」というコンテンツがあります。
ここには電気などのライフラインをはじめ、道路、鉄道、船舶などの問い合わせ先も多数掲載されています。特に海運会社の問い合わせ先が多いです。
これは、長崎県が日本で一番島の数が多い(971島)ことに関係しているからでしょう。
防災情報を地図で見る「長崎県総合防災GIS」
メニュー右側に「長崎県電子国土総合防災GIS」があります。
こちらをクリックすると地図が表示され、知りたい情報が地図上で表示されます。
特徴として、表示される情報がとても多いことが言えます。
まだ調整中ですが避難施設の表示に対応しています。
ほかにも消防署や警察署などの施設、病院、ヘリポートなどの場所も登録されています。
地図で見るコンテンツはもう一つあります。
総合防災GISの下にある「河川砂防情報システム(NAKSS:ナックス)」です。
こちらは県内の雨量や河川水位などの情報を提供するシステムになっています。
この二つのコンテンツで、かなりの情報をカバーできるのではないでしょうか。
防災キッズルーム
サイトの左側に「防災キッズルーム」というコンテンツがあります。
こちらは子供向けの防災情報ページということですが、少し弱いかなあと思います。
災害や防災の知識、長崎県庁の仕事について解説されていますが、その解説でコンテンツが終わっているからです。
たとえば、過去に長崎で起こった災害を取り上げ、動画や写真を多用し、そこから学ぶべきことや取るべき対策などを考えさせるようなコンテンツは作れないでしょうか。
子供向けということですが、どの年齢層に対して訴求されているか、ぼやけている気がします。
また防災について参考になるサイトをリンクしていますが、切れているサイトが複数あります。
対象は長崎県内の子供なのですから、他のサイトに誘導するのではなく、地元色を生かした独自のコンテンツを構築されるのが良いのではないでしょうか。
以上、長崎県の防災コンテンツを見てきました。
そつなくまとまったサイトになっていますが、防災ハンドブックを発行するなど、より防災教育に力を入れることも大事だと思います。そのような期待を込めて星3.5とさせていただきました。
まとめです
防災情報リンク九州・沖縄編第一弾をお送りしました。
今回はすべての県が防災サイトを持っていました。
さらに情報が充実し、何か災害があったら頼ることができるサイトになることを期待したいです。
引き続き残りの県についても記事を書いていきます。