こんにちは!管理人のアカツキです。
今回の防災グッズは「ポータブル電源」を取り上げます。
今年2021年は、ポータブル電源(Portable Power Supply、以下PPSと略します)がより脚光を浴びる年になるのではないか・・・。そうリサーチをしていて感じました。
防災目的はもちろん、日常の様々なシーンやアウトドアで大活躍するアイテムだと思います。
ポータブル電源とは?
BIGなモバイルバッテリー
ざっくり一言で言うなら「大きくなったモバイルバッテリー」といったところでしょうか。
サイズは大型化していますが、その分バッテリーの容量が大きくなっています。
一般的なモバイルバッテリーではスマホに数回程度しか充電ができませんよね?
ところが、PPSでは数十回という充電回数を難なくこなせてしまうんです。
しかし、単に大きくなったわけではありません。
バッテリー容量が大きいということは、モバイル機器だけでなく家電などにも電力を供給できることを意味しています。
そのため、PPSには出力ポートが多彩に用意されています。
この点で前者とは大きな違いがあると言えます。
一台でスマホ、家電に電力を供給
ではPPSというのはどんなものなのでしょうか。まず実物の一例をご紹介します。
こちらは幅が約30cm、奥行きが約19cm、高さも約19cm(取っ手収納時)となっています。
確実にモバイルバッテリーよりは大きくなっていますね。
このサイズ感は、よく100均ショップなどで売っているA4ファイルケースを少しこじんまりにして2段にしたくらいのものに近いと思います。思ったよりもコンパクトにまとまっているんですね。ただしバッテリーだけあって重さはちょっとあります(この製品ですと6.3kg、5kgの米袋より少し重いです)。
次に、一般的なPPSの出力ポートは次のようになっています。
- USBポート(Type-A、Type-C)
近年は大出力のPD(パワーデリバリー)にも対応 - AC(交流)出力ポート
家庭用のコンセント - DC(直流)出力ポート
車載家電などに対応
ご覧のように、実に多くのポートがあることがお分かりになるかと思います。
AC出力ポートがあることで家電製品(小型)とも繋いで使えます(消費電力に制限があります)。
またDC出力は、主に車載家電(冷蔵庫や扇風機)に使われます。
これらの利点から、近年はキャンプなどのアウトドアで欠かせないアイテムになっています。
そしてその用途は停電時の防災グッズとしてもマッチします。
PPSがあることで、スマホやタブレット、ノートPCへの充電はもちろん、寒さをしのぐための電気毛布、もしネット回線が断線していなかった場合はルータへの電源供給などさまざまに活躍してくれることでしょう。
発電機 > ポータブル電源 > モバイルバッテリーです
電気を供給するアイテムとして発電機がよく知られています。
取っ手を引いてドゥルルルルン!!とエンジンを始動させるやつです。
我が家でも、かつてキャンプなどでよく使っていました。
この発電機も防災の観点からは有用なものです。
ところで発電機やPPS、モバイルバッテリーといった給電装置にはどのような違いがあるのでしょうか。
上の表にある通り、発電機は燃料を必要としますが自ら発電できるのが大きなメリットです。しかしその一方で重く、また騒音が発生します。
一方で、PPSやモバイルバッテリーなどは自ら発電はできませんが、小型の家電までならまかなえるバッテリー容量を備えています。騒音も大きく気になるというレベルではありません。
そしてPPSは発電機に比べてコンパクトなので、場所を選ばずに使えるという点がメリットでしょう。
さて、電気を貯めて使用するタイプの電源が広まってきていますが、これは小型かつ大容量のバッテリーが開発されたことによるものです。
それがリチウムイオン電池です。
iPhoneなどの昨今のデジタル機器が普及する礎を築いたこの電池の開発には、ノーベル賞を受賞された吉野彰さんの研究が大きく貢献しました。PPSの根幹を支える技術の一端を、この機会に調べてみるのも面白いと思います。
バッテリーを理解する6項目
というわけで早速PPSを見ていきたいのですが、スペックの読み解きがややこしいです。
電気を扱いますので、ワットやアンペア、交流や直流などの用語や数値が多数登場するんですね。
ですので、理解のためにはある程度知識を付けなければなりません。
内容がやや教科書的になってしまいますので、それよりも実際に製品を知りたい!とお察ししますが、どうかご辛抱をいただき、ぜひ放電容量と電力量だけでも押さえてみてください。
他の項目も一つ一つ押さえていけばPPSだけでなくモバイルバッテリーをお買い求めになる時にも
きっと役立ちますので、せっかくです、ここで頭に入れておきましょう!
その1 放電容量・Ah(アンペアアワー)
放電容量(ほうでんようりょう)とは、バッテリーから供給される電気量を言います。
つまりそのバッテリーが貯めておける電気量ということですね。バッテリー容量とも言われます。
基本的にこの数値が大きいほどバッテリー容量が大きくなります。
その単位はAh(アンペア・アワー)で、これは電流の単位であるA(アンペア)と時間のh(hour)を掛けたものになっています。
モバイルバッテリーにも同様の表記がありますが、あちらには〇〇mAhと”m”が付いていますよね?
このmは接頭辞(せっとうじ)といって、「1000分の1」を意味します。読み方は「ミリ」です。
PPSのそれもmAh表記になっていますが、そのケタ数がモバイルと比べて10倍になっているものもあります。
さて、単位が掛け算になっていますが、これは次のように考えることができます。
- 例 10000mAhのバッテリー
- 1000mAの電流を10時間流せる
- 5000mAの電流を2時間流せる
- 10000mAの電流を1時間流せる
これらは掛けると全て10000mAhになります。
つまり流せる電流と時間に分解することで、バッテリーの能力を見ることができるんですね。
これが単位が掛け算されている意味です。
より早く充電するためには、流す電流を大きくして時間を稼ぐのが基本的な考えになります。
その2 電力量・Wh(ワット時)
続いては電力量です。こちらの単位はWh(ワット時)です。
よく今月の電気料金のお知らせなどに書かれているので、ご存じの方も多いと思います。
ですが、電力量に行く前に”W”を知る必要があります。
W(ワット)は物理で言うところの仕事率の単位です。
特に電気関係の仕事率についてはこのWが使われ「電力」と呼ばれます。
家電製品の後ろなどに「〇〇W」と書かれていますよね?
あれがその家電を1時間使った時に消費する電力です(ワット数)。
では消費電力が〇〇Wの家電を△時間使ったら、合計した電力の量はどれくらいになるでしょうか?
これはそのままワット数と使用時間を掛ければいいですよね。
・・・ん?掛ける?
そうなんです。これって単位で考えると、Whです。
ということは先ほどみた電力量の単位になりますよね。
つまり、電力量は、ある消費電力の家電をある時間使った時の合計電力ということになります。
- 消費電力が40Wの電気毛布を2時間使用した
→電力量は40W×2h=80Wh - 消費電力が100Wの電気こたつを3時間使用した
→電力量は100W×3h=300Wh - 消費電力が400Wの電気ヒーターを5時間使用した
→電力量は400W×5h=2000Wh
(注:あくまでも計算上の結果です)
次に、電力量について単位の意味を考えてみます。
ある家電を何時間か使った時の電力合計が電力量でしたね。
これを逆に考えてみましょう。
つまりこの電力量であれば、ある消費電力の家電にこれだけの時間分の電気を送ることができる
と見方を変えるわけです。
これって、バッテリー容量と同じ意味ですよね。
PPSでは、この電力量もバッテリー容量の単位として表記されています。
放電容量も同時に示されていることが多いですが、本質的には同じ意味です。
ポータブル電源では家電にも電力を供給できるため、Whによる表記がメインになっています。
放電容量も示されていますが、電池の作動電圧も考えないとバッテリー容量の評価を見誤るリスクがあります。
基本的にはWh表記でバッテリー容量を評価されると良いでしょう。
また、電力供給時には必ず送電ロス(損失)が発生します。損失の原因としては
- 電気エネルギーが熱になる
- 電源の回路で直流を交流に変換
- 電気を多く送ろうとしてその勢いを上げる(昇圧)のに自身のエネルギーを使うため
などがあげられます。
この損失が結構見過ごせないレベルでして、数十%とも言われています。
1000Whのバッテリーから消費電力100Wの機器に給電しても10時間は動かせないということです。
各メーカーともこの問題に対して電力利用の効率化を図るシステムを開発していますが、スペック値はあくまでも参考にとどめ、実効ベースで考えることが大事です。
その3 波は正弦波?矩形(くけい)波?
ここも重要なポイントです。PSSにはAC出力ポートが付いています。
このACというのはAlternative Currentの略で「交流電流」を意味します。
電気の流れには「直流」と「交流」があり、ACポートからは交流電流が取り出せます。
私たちが家で使っているコンセントもACです。
交流電流は、電気の流れと向きが周期的に変わっているんです。
時間を横軸に、その電流の大きさや向きをグラフにすると次のようになります。
キレイな波ですよね。これを正弦波(せいげんは、Sine Wave)と言います。
家庭用のコンセントからも交流正弦波が出力されます。
ちなみに、左側は直流(DC、Direct Current)です。交流とちがって真っすぐですよね。
PSSはこのDCポートも備えています。また車のシガーソケットから電気が取れることを
ご存じかと思いますが、あれもDCポートなんですね。
問題は、PSSからACを出力する時なんです。
内部では、インバータという機器を使って直流を交流に変換するという作業を行っています。
ところが一部PSSには交流波形が正弦波に近いようなカクカクの波で出力されるものがあります。
矩形波(くけいは、Square Wave)と言います。
「矩形」とは、すべての角が直角の四角形のことです。
これをそのまま家電に通電した場合、マイコン使用機器は故障する可能性があります。
マイコンとは、電子機器の動作コントロールを行う回路のことで小さなコンピュータのようなものです。
たとえば温度調節ができる電気毛布です。テレビ、PCなども精密機器ですのでこちらも故障リスクがあります。
しかし、最近のPSSは正弦波を出力する機器がほとんどですので、今はあまり気にする必要はないと思います。一つの知識として知っておかれると良いかと思います。
・・・余談ですが、矩形波と聞くと「矩形波倶楽部」を思い出します。余談でした。
その4 周波数は?
AC出力で家電を使う際には、周波数も気を付けなければなりません。
こちらは聞いたことのある方も多いと思います。
先ほど、交流の波がウネウネと動いておりましたが、実に1秒間で50回、あるいは60回もウネウネしてお家に届いています。この数を周波数と言いまして、その単位はHz(ヘルツ)です。
色んな大人の事情があって、西日本では60Hz、東日本では50Hzの交流が使用されています。
そのような訳で、家電もこの周波数で動作するように設計されております。
したがって、60Hz地域で50Hz専用の家電を使うと性能が変わったり、故障する可能性があります。逆もしかりです。
(家電側で自動的に周波数を合わせてくれる「ヘルツフリー」機器もあります)
PPSについても発振する周波数が固定されていたり、50/60Hz両方に対応している製品があります(切り替え方法はマニュアルに掲載されています)。家電使用前に、この点も考える必要があります。
その5 USB出力ポートの種類は?
スマホやPCの充電にUSBポートを使う点はモバイルバッテリーと同じです。
しかし、こちらも押さえておきたい点があります。それが端子のタイプと充電方式です。
USB Type-AとType-C
まずはこちらをご覧ください。
こちらはあるPPSのUSBの出力ポートです。
なじみのある四角のポートに加えてだ円のポートがありますよね?
これは近年増えているUSBのType-C端子です。
そして四角のポートはUSBのType-A端子と呼ばれます。
このType-C端子の良いところは「上下どちらにしても差し込める」点でしょう。
誰しもがUSBのType-A端子にケーブルを差し込むとき、一回で差し込めなかった経験がおありになると思います。
この向きで入らなかったから反対にしたのにはまらない・・・まさかと思ってひっくり返すと入っちゃった、となるアレですアレ。
「上下上問題」で知られているか分かりませんが、USB Type-Cはこの問題を見事に解決しました。
Type-CはPD対応
良いところはもう一つあります。それが充電機能です。
USB PD(USBパワーデリバリー)という最大100Wまでの電力を供給できる規格が追加されました。
これによって、USB PDに対応する機器とケーブル同士でより早い充電が可能になりました。
スマホやノートパソコンの充電時間を早くしたい、とお考えであればType-Cポートの有無もご検討ください。
Type-Aでも急速充電対応かチェック
それでは旧来のType-Aポートを使うと充電が遅いのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。そのための規格が用意されています。
その代表的なものがQC(Quick Charge)規格です。
これはアメリカの半導体メーカーであるQualcomm(クアルコム)社によって決められた規格です。
現在充電できる出力に対応してバージョン4.0まで決められていますが、市場ではQC3.0が普及しています。
これに対応したスマホやタブレットであれば通常の充電よりも4倍ほど早く充電できると言われています。
しかし、充電にはQC3.0に対応するケーブルも必要になりますのでご注意ください。
(iPhoneやiPadは対応していませんが、USB PDに対応しています)
スマホなどの対応状況はこちらでチェックできます。
この辺りの急速充電規格は、メーカー側が色んな規格を出していて乱立している状況です。
私感では、最大100Wを出力できるUSB PDがスマホ、タブレット、PC全体に普及してきているように思います。
いずれにしても出力ポートの充電規格は押さえておきたいポイントですね。
その6 車やソーラーパネルからも充電できます
PPSはその充電方法もバリエーション豊かです。
今回ご紹介するPPSは、ほとんどが次の充電方法に対応しています。
- ACアダプタ
- シガーソケット(車)
- ソーラーパネル
これらを組み合わせて充電もできます。
入力が増えますので、それだけ早く充電が完了するということになります。
そして、別売りになってしまいますが対応するソーラーパネルを設置することで
太陽光によるバッテリー充電ができます(DC入力)。
さらにソーラーパネルそのものにUSBポートが付いている製品もあり、直接スマホに充電可能です。
価格はやや高めですが、PPSを使う上で大きな利点になると思います。
ただ出力端子の違いで充電が行われない、ということも起こり得ます。
メーカー純正品のパネルを使用することがトラブル回避の近道になるでしょう。
ぜひ備えておきたい!ポータブル電源をご紹介します
それでは実際の製品をご紹介していきます。
PPSは原則バッテリー容量の大小で商品展開されています。
今回の記事では、1000Whを超えるモデルは外しています。価格帯が10万円を超えるためです。
よりお求めやすいミドルレンジのPPSに絞って取り上げてみたいと思います。
(1) Anker(アンカー)
型番 | PowerHouse II 400 |
参考価格(税込) | ¥31,840 (Amazon公式) |
バッテリー容量 | 388.8Wh |
放電容量/作動電圧 | 108,000mAh/3.6V |
サイズ(幅×奥行×高さ) | 255×148×139mm |
重量 | 4.62kg |
出力ポート数 | 8 |
AC出力 | 1個、110V、出力300W(瞬間最大600W) |
周波数 | 50Hz/60Hz |
出力波形 | 正弦波 |
DC出力 | シガーソケット・1個、DCポート・2個、最大120W |
USB出力 | Type-A・3個、Type-C・1個(最大60W) |
充電方式 | ACアダプタ、ソーラーパネル、USB Type-C |
Anker発のポータブル電源
2011年にGoogleの元エンジニアが創業したエレクトロニクスメーカー、AnkerからもPPSが発売されています。
モバイルバッテリーと言えば最初にこちらが思い浮かぶくらい、メジャーな企業になってきましたね。最近ではコンビニにAnker製品の販売コーナーがあって驚いた記憶があります。
そんなAnker発のPPS、黒のスッキリとしたデザインや大きな液晶表示がおしゃれで実用的ですね。
USB Type-Cポートも備えた必要十分な一台
PowerHouse II 400は全部で8つの出力ポートを備えており、バッテリー容量は388.Wh。Ankerによればスマートフォンは23回の充電が可能とのことです。
USBはType-Cポートを一つ備えており、最大60Wまでの出力に対応しています。
このポートは充電にも使うことができ、ACアダプタなどと組み合わせて充電スピードを上げられます。
またAnkerは独自の急速充電技術として「PowerIQ」を持っています。これは充電器側が接続した機器に最適な急速充電を自動的に判別するという技術です。本機種には最新の3.0規格が適用されており、Type-Aポートに接続してもその恩恵が受けられるでしょう。
そしてポイントが高いのがLEDライトです。側面と背面それぞれに付いており、ランタンあるいは懐中電灯的な使い方ができるようになっています。
もちろんソーラーパネル充電もOKです。全体的によくまとまっているPSSだと思います。
(2) EENOUR(イーノウ)
型番 | P302 | EB50 |
参考価格(税込) | ¥25,990 (楽天公式) | ¥49,880 (Amazon公式) |
バッテリー容量 | 296Wh | 500Wh |
放電容量/作動電圧 | 80,000mAh/3.7V | 135,000mAh/3.7V |
サイズ(幅×奥行×高さ) | 21.5×15×20.5cm | 15.9×30.0×21.9cm |
重量 | 4kg | 6.4kg |
出力ポート数 | 13 | 10 |
AC出力 | 4個、100V、出力300W(最大600W) | 2個、100V、出力300W(瞬間最大600W) |
周波数 | 60Hz | 50Hz/60Hz |
出力波形 | 正弦波 | 正弦波 |
DC出力 | シガーソケット・1個 DCポート・4個 いずれも最大120W | シガーソケット・1個 DCポート・2個(12V/3A) |
USB出力 | Type-A・3個(1個はQC3.0対応) Type-C・1個(最大100W) | Type-A・4個 Type-C・1個(最大45W) |
充電方式 | ACアダプタ ソーラーパネル シガーソケット(車) USB Type-C | ACアダプタ ソーラーパネル シガーソケット(車) |
2020年に立ち上がった新ブランド
株式会社MK JAPANが日本販売元となり展開するブランド「EENOUR(イーノウ)」のPPSです。
こちらのブランドは2020年に創立されたとのこと。メーカーは中国シンセンです。
EENOURブランドでは、PPSのみならず発電機も販売しています。
発電機は騒音が問題になりますが、より低く抑えたモデルを展開しており、こちらも注目です。
P302は多くの出力ポートを装備
EENOURからは296WhのP302と500WhのEB50を取り上げました。いずれも10個以上の出力ポートを備えています。今回取り上げた製品の中でも一番多いポート数を誇ります。
USB Type-Cポートも両機種搭載です。特にP302はUSB PDの最大出力100Wに対応しています。
実は上位モデルのType-C出力は45Wまでになっているんですね。また他のメーカーを見ても100Wモデルは無いように思います。先ほどのAnkerが60Wでしたよね。
このモデルだけ型番がPからはじまり、上位モデルはEBからはじまります。ポート数もP302の方が13個(こちらも今回取り上げた製品で最多です)ありますが、有り体に考えるならばよりバッテリー容量の大きいモデルが搭載すべきPD出力とポート数のように思います。この点はメーカーの設計思想によるのでしょう。その意味で型番も異なっていると推察します。
実際P302はより小型でコンパクトな形状になっており、重量も3kgとやや軽量ですので、防災目的はもちろんですがアウトドアなどへ対応しやすく設計されたのでしょう。
また、P302の背面は全面LEDライトになっており、ランタンとしても使えます。
Type-Aポートの一つはQC3.0に対応しており、最大18Wの急速充電が可能です。
一方で周波数は60Hz固定になっています。家電使用時にはご留意ください。
EB50は長寿命モデル
EB50は容量を500Whに強化したミドルレンジモデルです。こちらもポート数は10個と多いです。
EENOURの充電池は三元系リチウムが用いられています。リチウムイオン電池には、正極の材料によっていくつかのバリエーションがあります。この三元系リチウムは一般的な材料に比べて長寿命であることが一つの特徴とされています。
電池の寿命を示すのが、電池のサイクル数です。
単純に充電した回数ではなく、その電源の容量を使い切った回数としてカウントされます。
サイクル数500回のPPSが多いのですが、EB50は1000回となっています。より長く使える一台になっているのではないでしょうか。
(3) エレコム
型番 | DE-AC05-60900BK |
参考価格(税込) | ¥27,280 (楽天公式) |
バッテリー容量 | 222Wh |
放電容量/作動電圧 | 60,900mAh/11.1V (放電容量の値は、11.1V時のものではなく 3.7V換算の放電容量だと思われます 11.1V=3.7V×3) |
サイズ(幅×高さ×厚み) | 約202×235×68mm |
重量 | 約2.8kg |
出力ポート数 | 5 |
AC出力 | 1個、110V、出力120W(最大200W、1秒) |
周波数 | 50Hz/60Hz |
出力波形 | 正弦波 |
DC出力 | DCポート・1個、出力120W |
USB出力 | Type-A・2個(1個はQC3.0対応) Type-C・1個(最大45W) |
充電方式 | ACアダプタ |
大手メーカーもPPSを発売
PC周辺機器で名高いエレコムも2020年にポータブル電源を発売しました。
スマホが普及し、モバイルバッテリーがかなり普及した中にあって、さらにバッテリー機器に対する製品展開がされて来ていると感じています。
よりコンパクトさを考えたポート構成
ポートはUSB Type-A(QC対応と通常ポート1個ずつ)が2個、USB Type-Cが1個、ACとDC入力がそれぞれ1個ずつ、合計5個と電源容量222Whに即した素直な構成になっています。
本体サイズもやや細長のスリム設計になっており、重量も2.8kgと片手で持ち運べる重さです。
ただAC出力が120W(最大200W・1秒)ですので、使える家電は限定されるでしょう。
また充電方法がACアダプタ入力のみになっています。
とは言え、正弦波出力で周波数も50Hz/60Hzに対応しており基本的な勘所は押さえています。
USB PDも対応しており、必要最低限な機能が搭載されたPPSと言えるでしょう。
(4) Smart Tap:PowerArQ(スマートタップ:パワーアーク)
型番 | PowerArQ mini | PowerArQ2 |
参考価格(税込) | ¥27,280 (Amazon公式) | ¥50,830 (Amazon公式) |
バッテリー容量 | 346Wh | 500Wh |
放電容量/作動電圧 | 93,600mAh/3.6V | 45,000mAh/11.1V |
サイズ(幅×奥行×高さ) | 230×193×195mm | 295×195×191mm |
重量 | 3.5kg | 6.2kg |
出力ポート数 | 4 | 11(ワイヤレスを1個含む) |
AC出力 | 1個、100V、出力200W(最大400W) | 2個、100V、出力300W(最大450W) |
周波数 | 60Hz | 50Hz/60Hz |
出力波形 | 正弦波 | 正弦波 |
DC出力 | シガーソケット・1個 12~13.3V(最大133W) | シガーソケット・1個(最大120W) DCポート・2個(最大36W) |
USB出力 | Type-A・2個 | Type-A・4個 Type-C・1個(最大45W) |
ワイヤレス充電 | – | 1個(最大10W) |
充電方式 | ACアダプタ ソーラーパネル シガーソケット(車) | ACアダプタ ソーラーパネル シガーソケット(車) |
カラー | 3色 ・コヨーテタン ・オリーブドラブ ・レッド オリーブ・ドラブ(Olive Drab)はくすんだオリーブ色 | 6色 ・チャコール ・レッド ・ジェットブラック ・スノーホワイト ・コヨーテタン ・オリーブドラブ |
家電批評ベストバイ2020 防災家電部門受賞
加島商事株式会社が展開するSmart Tapブランドから発売されているPPSです。
こちらの製品はヨドバシカメラやビックカメラなどの大手家電店でも販売されています。またこれらを含むいくつかの店舗やネットショップが公式の取扱所として認定されています。
最近のニュースとして「PowerArQ2」が家電情報誌「家電批評」の「家電・オブ・ザ・イヤー2020・防災家電部門(ポータブル電源)」を受賞しました。11製品を検証した中での1位ということでした。
コンパクトなminiとワイヤレス充電も可能な2
PowerArQ miniは名前通りのかわいい筐体ですよね。しかしバッテリー容量は346Whと十分。
出力ポートはAC、DCそれぞれ一個ずつ、USBはType-Aが二個と最小構成です。また周波数は60Hzのみですので家電接続の際はご注意ください。
ちなみに本機のDC出力は13.3Vまで対応できます。これは無線機などのDC12V以上を必要とする機器を接続して運用することを考慮してのものです。通常のDC出力は12Vが標準的ですが、12Vぴったりだと動作が不安定になるということのようですね。
充電方式は幅広く、他のメーカー同様にソーラーパネルや車(シガーソケット)からの充電が可能になっています。そのためのケーブル(MC4ケーブル:ソーラーパネルと接続するためのケーブルです)や3.4mの長尺シガーソケットケーブルも付属しています。ここまで長いケーブルを付けているのはPowerArQ miniだけではないでしょうか。
PowerArQ2はさらにパワーアップした500Whのバッテリー容量でポート数も増えています。こちらは45Wまで出力できるUSB Type-Cポートも搭載されています。取っ手も収納式になっており、持ち運びのことも考えられた作りになっています。
そして特筆すべきはワイヤレス充電に対応していることです。最近この用語をお聞きになられた方も多いと思います。最近のスマホなどはこの充電方式に対応しています。こちらも規格があり「Qi(チー)」が国際的な規格として制定されています。
私も一台ワイヤレス充電器を持っていますが、いちいちケーブルを差さないでそのまま台座に置くだけで充電できる手軽さは便利ですよ!
カラーバリエーションも豊富
PowerArQの特徴としてカラーバリエーションが豊富なことがあげられると思います。miniは3色、2はさらに多い6色の取り扱いを行っています。あなた好みの1台を見つけるのも良いかも知れないですね。
また本当に最近なのですが、2021年1月25日から最上位機種である「PowerArQ Pro(1000Wh)」も発売開始になりました。さらにPPSの需要が高まりそうですね。
(5) Jackery(ジャクリ)
型番 | ポータブル電源 240 | ポータブル電源 400 | ポータブル電源 700 |
参考価格(税込) | ¥19,800 (Amazon公式) | ¥35,840 (Amazon公式) | ¥67,830 (Amazon公式) |
バッテリー容量 | 240Wh (241.9Wh) | 400Wh (409.5Wh) | 700Wh (704.6Wh) |
放電容量/作動電圧 | 16,800mAh/14.4V | 27,900mAh/14.68V | 32,000mAh/22.02V |
サイズ (幅×奥行×高さ) | 約230×133.2×167.3mm | 約230×153.2×167.3mm | 約299.7×192.9×191.5mm |
重量 | 3.2kg | 4.1kg | 6.3kg |
出力ポート数 | 4 | 4 | 8 |
AC出力 | 1個、100V 出力200W (瞬間最大400W) | 1個、100V 出力200W (瞬間最大400W) | 2個、100V 出力500W (瞬間最大1000W) |
周波数 | 60Hz | 60Hz | 60Hz |
出力波形 | 正弦波 | 正弦波 | 正弦波 |
DC出力 | シガーソケット・1個(12V/10A) | シガーソケット・1個(12V/10A) | シガーソケット・1個 (12V/10A) DCポート・2個 (12V/7A) DC合計120W |
USB出力 | Type-A・2個(最大24W) | Type-A・2個(最大24W) | Type-A・3個(最大30W) |
充電方式 | ACアダプタ ソーラーパネル シガーソケット(車) | ACアダプタ ソーラーパネル シガーソケット(車) | ACアダプタ ソーラーパネル シガーソケット(車) |
Appleの元バッテリーエンジニアが参加
Jackery(ジャクリ)は2012年に創業したまだ新しい会社です。創立メンバーにAppleの元バッテリーエンジニアが加わっており、PPSやソーラーパネルを開発・販売しています。
必要な機能をしっかりまとめたラインアップ
これら3機種の主な違いはバッテリー容量で、240Wh、400Wh、700Whと増えていきます。その他の出力ポート構成は基本的に変わりません。700のみAC出力とUSB出力ポートが一個ずつ増えています。ユーザー側が必要とする容量や使い方で買うべき機種が決まりそうです。なお、周波数は全製品60Hz固定です。こちらも接続する家電にはご注意ください。
Jackeryの製品はソーラーパネルも含めて色使いがシンプルです。ブラックを基調として朱色のアクセントを付けていますね。
デザイン的にも大きく違いはありませんが、それが統一感を生み出しているように感じます。また取っ手が上げ下げできるようになっているなど、使い勝手が意識されています。
充電もソーラーパネルやシガーソケット経由から可能です。無難に必要な機能をまとめ上げているように思えます。
USB Type-C端子が付いていないことが一つの是非になるかと思いますが、標準的なスペックで安心感があるPPSラインアップだと思います。
ドリルのバッテリーも使えます!
バッテリーはさまざまな所で使われていますよね。身近な所ですと車はもちろんですが、最近愛好者が増えているDIYで用いられる電動工具もそうですよね。
電動工具に用いられているバッテリーにもリチウムイオン電池が用いられています。ということは、出力さえできればモバイルバッテリー、あるいは簡易なポータブル電源として使える可能性があるということですね。
私も調べていて初めて知ったのですが、電動工具メーカーのマキタがこれを実現しています。
このようなアダプタを使用することでスマホへの充電が可能になります。あくまでも非常時の手段になりますが、電源を確保する一つの手段として備えることができます。
まとめです
今回は災害時の電力供給手段の一つ、ポータブル電源(PPS)を取り上げました。
やや価格が高めになりますが、モバイルバッテリーを大きく上回り家電にも電力を供給できるスペックは魅力的です。
防災はもちろんですが、日常生活で使える万能さが一つのアピールポイントになるのではないでしょうか。
近年、スマホのデータ使用量を「ギガ」と呼び、多くのデータ量を要する通信を「ギガが減る」などと言うことが一般的になっていますね。
データ量の単位である「バイト」と10億を表す接頭辞である「ギガ」を組み合わせて「〇〇ギガバイトが減ってしまった」と表現するのがより正確なのかなと思います。
しかし、こうした使い方が出てくるということは、それだけ社会にスマホが普及していることを示すものだと考えます。
それと同様にPPSなどについても今後は「ワット(アンペア)が減る」」といった使い方が出てくるかも知れません。
そのことはPPSの普及を示す一つの指標になり得ますから、やいのやいの申す気はございません。
ですが、その用語の元々の意味というものをしっかりと押さえていくことが大事です。
PPSでさらに防災レベルを高めていきましょう!